○国立大学法人東京工業大学研究用微生物等安全管理規則

令和3年3月5日

規則第28号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 職務(第4条―第8条)

第3章 リスク群分類等(第9条―第11条)

第4章 微生物等の取扱い等にかかる手続き(第12条―第18条)

第5章 緊急時の対応(第19条)

第6章 雑則(第20条・第21条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規則は,国立大学法人東京工業大学(以下「大学」という。)において,教育研究のために利用する微生物等の保管及び使用等(保管及び使用のために必要な運搬,輸入及び滅菌等を含む。以下「取扱い等」という。)に関し,必要な事項を定め,もって大学の安全確保及び環境保全を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

 微生物等 原核生物,真菌,ウイルス,ウイロイド,原虫,寄生虫及びプリオン並びに毒素並びに臨床検体及び診断用検体(これらを不活化したものを含む。)をいう。

 病原性 微生物等が何らかの機構により,生物に危害を及ぼすことをいう。特にことわりがない限り,哺乳動物等(哺乳綱又は鳥綱に属する動物をいう。以下同じ。)に対する病原性を意味することとする。

 病原微生物等 哺乳動物等に対して病原性を持つ微生物等をいう。

 バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。) 微生物等の危険度の評価による分類をいい,1から4までの区分に分類される。なお,バイオセーフティとは,病原微生物等へのばく露等を予防することをいう。

 動物実験バイオセーフティレベル(以下「ABSL」という。) 微生物等を用いた動物実験における危険性の評価による分類をいい,1から4までの区分に分類される。

 実験室等 微生物等の使用,保管及び滅菌等を行う実験室及び関連する室をいう。

 部局等 各学院,リベラルアーツ研究教育院,科学技術創成研究院,国際先駆研究機構(各先駆研究組織を除く。),各先駆研究組織,各共通教育組織及び各共通支援組織等をいう。

(対象とする微生物等)

第3条 この規則は,大学の実験室等で教育研究上の利用に供するために取扱い等を行う微生物等を対象とする。

2 前項の規定にかかわらず,次の各号のいずれかに該当する微生物等については,大学において取扱い等をしてはならない。

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に定める一種病原体等又は二種病原体等に該当する微生物等

 BSLの分類が,3又は4に決定された微生物等

 微生物等を用いた動物実験を伴う研究においては,当該微生物等のABSLの分類が3又は4に決定された微生物等

第2章 職務

(学長の責務)

第4条 学長は,大学における微生物等の取扱い等について最終的な責任を負うとともに,その業務を統括する。

(研究用微生物等安全管理委員会)

第5条 大学に,次の各号に掲げる事項を審議・検討する研究用微生物等安全管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。

 大学における微生物等の取扱い等にかかる指針等の作成に関すること。

 微生物等の取扱い等にかかる審査等に関すること。

 微生物等の取扱い等にかかる管理体制の確認に関すること。

 微生物等の取扱い等における事故対応に関すること。

 前各号のほか,微生物等の取扱い等に関し必要な事項に関すること。

(委員会の構成)

第6条 委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。

 研究を担当する理事・副学長

 バイオサイエンス統合支援センター長

 バイオサイエンス統合支援センターに所属する高度専門職員のうちから,センター長が指名する者 1人

 微生物等を利用した実験に関して優れた識見を有する者 若干人

 微生物等(特に病原微生物等)に関して優れた識見を有する者 若干人

 その他学識経験を有する者 若干人

 その他学長が必要と認めた者 若干人

2 前項第4号から第7号までの委員の任期は2年とし,重任,再任を妨げない。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。

(委員会の運営)

第7条 委員会に,委員長及び副委員長を置く。

2 委員長は,委員の互選によって決定し,副委員長は,委員のうちから委員長が指名する。

3 委員長は,委員会を招集し,その議長となる。

4 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるときは,その職務を代行する。

(庶務)

第8条 委員会の庶務は,研究推進部研究企画課において処理する。

第3章 リスク群分類等

(リスク群分類等の作成)

第9条 委員会は,「世界保健機関(WHO)実験室バイオセーフティ指針」(以下「WHO指針」という。)の考え方を参考にして,微生物等のBSL及びABSL(以下「BSL等」という。)の分類を決定するための指標として,微生物等のリスク群分類及びリスク評価項目を作成するものとする。

2 前項のほか,委員会は,WHO指針の考え方を参考にして,微生物等の取扱いを行う者等の安全を確保するため,BSL等に応じた実験手技,安全機器及び実験室の設備を定める基準(以下「設備基準」という。)を作成するものとする。

(微生物等のBSL等の分類の決定)

第10条 学長は,前条で委員会が作成したリスク群分類等に基づき,委員会の審査を経て,微生物等のBSL等の分類を決定することができる。

2 微生物等の取扱い等を希望する者であって,当該微生物等のBSL等の分類が決定されていない場合,学長にBSL等の分類を決定するよう依頼するものとする。

3 前項におけるBSL等の分類の決定の手続きは第1項に準じて行うものとする。

(指針の作成等)

第11条 委員会は,微生物等のリスク群分類,リスク評価項目,設備基準,BSL等の分類の一覧その他微生物等の安全管理に関し必要な事項をまとめたものを指針として作成し,閲覧できるようにしなければならない。

第4章 微生物等の取扱い等にかかる手続き

(微生物等取扱等責任者)

第12条 微生物等の取扱い等は,微生物等の取扱い等に対して責任を有する者(以下「微生物等取扱等責任者」という。)の管理・監督の下で,実施するものとする。

2 微生物等取扱等責任者は,微生物等の取扱い等について,適切な管理・監督を行うとともに,微生物等を保管し,又は実験を行う実験室等の適切な管理運営を行い,微生物等に係る事故又は災害が起きた場合における責任を負うものとする。

3 微生物等取扱等責任者は,大学に所属する教員でなければならない。

(微生物等の取扱い等にかかる申請)

第13条 微生物等の取扱い等を希望する者であって,次の各号のいずれかに該当する場合は,事前に学長に申請し,許可を得なければならない。

 微生物等のBSLの分類が2である場合

 微生物等を用いた動物実験を伴う研究を希望する場合であっては,当該微生物等のABSLの分類が2である場合

 感染症法に定める三種病原体等(以下「三種病原体等」という。)又は四種病原体等(以下「四種病原体等」という。)に該当する微生物等の取扱い等を希望する場合

2 前項の申請は,当該研究の責任者であって,微生物等取扱等責任者となる者が,次の各号に掲げる事項を記載した別に定める様式によって行うものとする。

 研究課題名

 当該研究の責任者(微生物等取扱等責任者となる者)

 微生物等取扱等責任者の管理・監督のもと,微生物等の取扱い等に従事する者(以下「微生物等取扱等従事者」という。)

 取扱い等を行う微生物等の名称

 感染症法の適用の有無(有の場合は,三種病原体等又は四種病原体等の別を記載の上,申請者の所属する部局等の長の承認を得ること。)

 大学でのBSL等の分類

 実験等の内容(微生物等の扱い方について明確に記載すること。)

 実験等を行う施設及び設備に関する情報(微生物等の保管方法並びに当該施設を置く建物名称及び部屋番号を明示することとし,当該施設の図面を添付すること。)

 実験等実施希望期間

 微生物等に関する情報(微生物等取扱等責任者の当該微生物等に対する知見及び認識を示すこと。)

3 前項の申請を受けた学長は,委員会での審査を経て,微生物等の取扱い等の可否を決定するものとする。

(審査の観点等)

第14条 委員会は,前条第3項の審査にあたっては,次の各号に掲げる観点を踏まえて,安全確保及び環境保全等の措置が適切に講じられているか審査するものとする。

 微生物等の取扱い等に係る管理体制が適切であること。

 取扱い等を行う微生物等のBSLに応じた施設基準を満たしていること。

 取扱い等を行う微生物等が,三種病原体等又は四種病原体等の場合にあっては,感染症法に定める要件を満たしていること。

 微生物等を動物実験に用いる場合にあっては,家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号。以下「家伝法」という。)その他関係法令に定める要件を満たしていること。

2 委員会は,審査の際,申請者に追加資料の提出を求め,又は委員会への出席を求めることができる。

3 委員会は,感染症法及び設備基準の要件を満たすことを確認するため,実験室等の実地検査を行うことができる。

4 委員会は,審査対象となる微生物等や,実施予定の実験の特性を踏まえ,第11条で作成した指針に定めるBSL等の分類の基準よりも,リスクが高いと判断した場合は,より高いBSL等に対応する設備基準を満たすよう,申請者に求めることができる。

(微生物等の保管に係る申請の特例)

第15条 第13条において,微生物等を大学で保管(保管のために必要な運搬,輸入及び滅菌等を含む。以下この条及び第18条において同じ。)することのみを希望する者(既に第13条第3項に基づく許可を得ており,当該許可された期間内にある者を除く。)は,第13条第2項の規定にかかわらず,次の各号に掲げる事項を記載した別に定める様式により,申請するものとする。

 微生物等取扱等責任者となる者

 微生物等取扱等従事者となる者

 保管する微生物等の名称

 感染症法の適用の有無(有の場合は,三種病原体等又は四種病原体等の別を記載の上,申請者の所属する部局等の長の承認を得ること。)

 大学でのBSL等の分類

 微生物等を保管する施設及び設備に関する情報(微生物等の保管方法等並びに当該施設を置く建物名称及び部屋番号を明示することとし,当該施設の図面を添付すること。)

 保管を希望する期間(原則として,5年以内とする。)

 微生物等に関する情報(微生物等取扱等責任者の当該微生物等に対する知見及び認識を示すこと。)

(感染症法に基づく届出)

第16条 三種病原体等の取扱い等の許可を受けた者は,学長に対し,直ちに大学に運搬するスケジュールその他必要な事項を報告するものとする。

2 前項の報告を受けた学長は,感染症法の定めるところにより,関係機関に対し必要な届出を行うものとする。

(変更申請)

第17条 微生物等取扱等責任者は,第13条又は第15条で許可を受けた申請内容に変更が生じた場合には,別に定める様式により,速やかに変更点について申請するものとする。

2 前項の審査等の手続きについては,第13条の規定を準用する。

(終了及び中止の届出)

第18条 微生物等取扱等責任者は,次の各号のいずれかに該当したときは,別に定める様式により,速やかに届け出るものとする。

 第13条で許可を受けた微生物等の取扱い等を終了し,又は中止することとなったとき。

 第15条で許可を受けた微生物等の保管を終了し,又は中止することとなったとき。

第5章 緊急時の対応

(異常事態発生時の措置)

第19条 異常事態を発見した者は,直ちに微生物等取扱等責任者に通報しなければならない。

2 微生物等取扱等責任者は,必要に応じて拡散防止等の緊急措置をとるとともに,直ちに所属する部局等の長及び委員会に報告しなければならない。

3 前2項において,三種病原体等又は四種病原体等に係る異常事態が発生した場合は,感染症法の定めるところにより,関係機関と連携し,適切に対応するものとする。

第6章 雑則

(他の法令及び規則との関連)

第20条 微生物等の取扱い等が,感染症法,家伝法その他の関係諸法令の適用を受ける場合には,委員会は,当該法令の趣旨を踏まえて,適切に対応するものとする。

2 微生物等の取扱い等が,国立大学法人東京工業大学遺伝子組換え実験等安全管理規則(平成16年規則第172号)国立大学法人東京工業大学動物実験等管理規則(平成19年規則第40号)東京工業大学における人を対象とする研究の実施に関する規則(令和3年規則第62号)その他の大学の規則等の適用を受ける場合には,微生物等取扱等責任者は,それぞれの規則等を遵守しなければならない。

(雑則)

第21条 この規則に定めるもののほか,微生物等の取扱い等に関し必要な事項は,委員会の審議を経て,学長が別に定める。

1 この規則は,令和3年3月5日から施行し,令和3年2月25日から適用する。

2 この規則施行後,最初に任期の定めのある委員となる者の任期は,第6条第2項の規定にかかわらず,令和5年3月31日までとする。

(令3.7.2規64)

この規則は,令和3年7月2日から施行し,改正後の国立大学法人東京工業大学研究用微生物等安全管理規則の規定は,令和3年6月30日から適用する。

(令4.3.18規34)

この規則は,令和4年4月1日から施行する。

(令4.6.1規75)

この規則は,令和4年6月1日から施行する。

(令5.3.17規38)

この規則は,令和5年4月1日から施行する。

国立大学法人東京工業大学研究用微生物等安全管理規則

令和3年3月5日 規則第28号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
[全学規則]/第7編 研究協力
沿革情報
令和3年3月5日 規則第28号
令和3年7月2日 規則第64号
令和4年3月18日 規則第34号
令和4年6月1日 規則第75号
令和5年3月17日 規則第38号