○国立大学法人東京科学大学遺伝子組換え生物等の実験等安全管理規則
令和6年10月1日
規則第111号
(目的)
第1条 この規則は、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「法」という。)及びその他関連省令等に基づき、国立大学法人東京科学大学(以下「大学」という。)における研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第一種使用等及び第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等に関し必要な事項を定め、もって遺伝子組換え生物等の実験等の安全かつ適正な実施を図ることを目的とする。
一 第一種使用等 次号に規定する措置を執らないで行う使用等をいう。
二 第二種使用等 施設・設備その他の構造物の外の大気、水又は土壌中への遺伝子組換え生物等の拡散を防止する意図をもって行う使用等であって、そのことを明示する措置その他省令等で定める措置を執って行うものをいう。
三 実験等 遺伝子組換え生物等の実験、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随する行為をいう。
四 生物 一の細胞(細胞群を構成しているものを除く。)又は細胞群であって核酸を移転し又は複製する能力を有するものとして遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則(平成15年財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号。以下「施行規則」という。)で定めるもの、ウイルス及びウイロイドをいう。
五 遺伝子組換え生物等 細胞外において核酸を加工する技術(施行規則で定めるもの)又は異なる分類学上の科に属する生物の細胞を融合する技術(施行規則で定めるもの)の利用により得られた核酸又はその複製物を有する生物をいう。
六 遺伝子組換え実験 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、法第2条第2項第1号に掲げる技術の利用により得られた核酸又はその複製物(以下「組換え核酸」という。)を有する遺伝子組換え生物等に係るもの(実験の過程において行われる保管及び運搬以外の保管及び運搬を除く。)をいう。
七 細胞融合実験 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、法第2条第2項第2号に掲げる技術の利用により得られた組換え核酸を有する遺伝子組換え生物等に係るもの(実験の過程において行われる保管及び運搬以外の保管及び運搬を除く。)をいう。
2 前項に規定するもののほか、この規則において使用する各用語の意義は、研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成16年文部科学省・環境省令第1号。以下「二種省令」という。)に定めるところによる。
(実験分類)
第3条 実験分類の名称は、クラス1からクラス4までとし、二種省令第3条に定めるとおりとする。
(遺伝子組換え実験に係る拡散防止措置の区分及び内容)
第4条 遺伝子組換え実験に係る拡散防止措置の区分及び内容は、二種省令第4条に定めるとおりとする。
(遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置)
第5条 遺伝子組換え実験に当たって執るべき拡散防止措置は、実験の種類に応じ、二種省令第5条に定めるとおりとする。
2 遺伝子組換え生物等の保管(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる保管を除く。)に当たっては、二種省令第6条の規定に基づき、次に定めるとおりとする。
一 遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れ、かつ当該容器の外側の見えやすい箇所に、遺伝子組換え生物等である旨を表示し、所定の場所に保管すること。
二 前号の容器の保管場所が冷蔵庫等の設備である場合には、当該設備の見やすい箇所に遺伝子組換え生物等を保管している旨を表示すること。
3 遺伝子組換え生物等の運搬(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる運搬を除く。)に当たっては、二種省令第7条の規定に基づき、次に定めるとおりとする。
一 遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れること。
三 最も外側の容器の見やすい箇所に、取扱いに注意を要する旨を表示すること。
(総括者等の責務)
第6条 理事長は法人の長としては、大学における第一種使用等及び第二種使用等に係る安全確保及び拡散防止措置等に関して総括する。
2 理事長は前項の責務を実行するための権限及び業務を学長へ委任する。
3 遺伝子組換え生物等の実験等を管理する部局の長(以下「部局長」という。)は、法、二種省令及びこの規則の定めるところにより、当該部局における安全確保及び拡散防止措置等に関し必要な措置を講じなければならない。
(遺伝子組換え生物等実験等安全管理中央委員会)
第7条 大学に、次に掲げる事項を審議及び検討する遺伝子組換え生物等実験等安全管理中央委員会(以下「中央委員会」という。)を置く。
一 遺伝子組換え生物等の実験等に関する規則等の立案に関する事項
二 遺伝子組換え生物等の実験等に係る教育訓練及び健康管理に関する事項
三 事故発生の際の必要な措置及び改善に関する事項
四 その遺伝子組換え生物等の実験等の安全確保に関する事項
(中央委員会の構成)
第8条 中央委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。
一 第10条に規定する地区審査委員会の委員長及び副委員長
三 前2号のほか、学長が必要と認めた者 若干人
2 前項第3号の委員の任期は2年とし、重任、再任を妨げない。ただし、補欠による委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(中央委員会の運営)
第9条 中央委員会に、委員長及び副委員長を置く。
2 委員長は、委員の互選によって決定し、副委員長は、委員のうちから委員長が指名する。
3 委員長は、中央委員会を招集し、その議長となる。
4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代行する。
5 この規則に定めるもののほか、中央委員会の運営に関して必要な事項は、中央委員会において定める。
(地区審査委員会)
第10条 大学に、次に掲げる事項を審議及び検討する遺伝子組換え生物等実験等安全管理地区審査委員会(以下「地区委員会」という。)を置く。
一 遺伝子組換え生物等の実験等の実験計画の法、二種省令及びこの規則に対する適合性の基準に関する事項
二 実験室、実験区域、飼育室、栽培室、特定飼育区画、特定網室等の遺伝子組換え生物等を使用し、又は保管する場所(以下「施設等」という。)の設置及び変更の基準に関する事項
三 その他、実験等の適正な実施のために必要な事項に関することの審査又は調査
2 地区委員会は、当該各号に定める地区を担当するものとする。
一 大岡山地区審査委員会 大岡山地区、すずかけ台地区及び田町地区
二 湯島地区審査委員会 湯島地区、駿河台地区及び国府台地区
(地区委員会の構成)
第11条 地区委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。
一 遺伝子組換え実験等に関して優れた識見を有する者 若干人
二 その他学識経験を有する者 若干人
三 その他学長が必要と認めた者 若干人
2 前項の委員の任期は2年とし、重任、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 地区委員会の構成に関する詳細な要件は、地区委員会が別に定める。
(地区委員会の運営)
第12条 地区委員会に、委員長及び副委員長を置く。
2 委員長は、委員の互選によって決定し、副委員長は、委員のうちから委員長が指名する。
3 委員長は、地区委員会を招集し、その議長となる。
4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代行する。
5 この規則に定めるもののほか、地区委員会の運営に関して必要な事項は、地区委員会において定める。
(予備審査等)
第13条 地区委員会は、審査に先立ち、特に専門性を有する実験計画については、予備審査を行うことができる。
2 地区委員会は、必要があると認めた場合は、委員以外の者の出席を求め、その意見を聴くことができる。
3 第1項の予備審査の運用に関する事項は、各地区委員会が別に定める。
(庶務)
第14条 中央委員会および地区委員会の庶務は、研究推進部研究基盤推進課において処理する。
(安全主任者)
第15条 大学に、遺伝子組換え実験等の安全確保のため、遺伝子組換え生物等実験等安全主任者(以下「安全主任者」という。)を置かなければならない。
2 安全主任者は、学長が委嘱する。
3 安全主任者は、法及び関係規則を熟知するとともに、生物災害に関する知識及び技術に習熟した者であり、次に掲げる職務を行うものとする。
一 遺伝子組換え実験等が、法、二種省令及びこの規則に基づいて適正に遂行されていることを確認すること。
二 第17条に規定する実験管理者に対し、指導及び助言を行うこと。
三 その他安全確保に関する必要な事項の処理に当たること。
4 安全主任者の任期は、2年とし、重任、再任を妨げない。ただし、補欠による安全主任者の任期は、前任者の残任期間とする。
5 安全主任者は、その任務を行うに当たり、中央委員会と十分連絡をとり、必要な事項について中央委員会に報告しなければならない。
6 安全主任者に関する詳細な要件については、別に定める。
(施設等)
第16条 遺伝子組換え生物等の実験等を管理する施設等についての管理体制及びその詳細については、各地区委員会で別に定める。
(実験管理者)
第17条 遺伝子組換え実験等を実施する場合は、実験計画ごとに実験管理者を定めなければならない。
2 実験管理者を務める者は、次に該当する者でなければならない。なお、第2号に該当する者の詳細な要件については、別に定める。
一 大学に所属する教員
二 TIP利用規約に定める会員のうち、大学オープンラボへ入居している者
3 実験管理者は、法及び関係規則を熟知するとともに、生物災害の発生を防止するための知識及び技術に習熟した者であり、次に掲げる任務を行うものとする。
一 実験計画の立案及び実施に際しては、法、二種省令及びこの規則を遵守し、実験全体の適正な管理・監督に当たること。
三 実験計画を立案し、学長にその計画及び変更について申請をすること。
四 その他実験の安全確保及び拡散防止措置等に関して必要な事項を実施すること。
4 実験管理者は、前項の任務のほか、遺伝子組換え生物等の保管又は運搬(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる保管又は運搬を除く。)を行う場合も、二種省令及びこの規則を遵守し、安全な管理・監督に当たるものとする。
(実験従事者)
第18条 実験従事者は、実験管理者が立案する実験計画に基づき、実験を実施するものとする。
2 実験従事者は、実験を実施するに当たっては、安全確保について十分自覚し、必要な配慮を行うとともに、あらかじめ、標準的な実験方法並びに実験に特有な操作方法及び関連する実験方法に精通し、習熟していなければならない。この場合において、法、二種省令及びこの規則を遵守し、拡散防止措置等に努めなければならない。
(第一種使用等に係る実験計画の申請手続)
第19条 第一種使用等に係る遺伝子組換え実験等を実施しようとする場合、実験管理者は、法に定めるところにより、別に定める様式の申請書を学長に提出し、許可を受けなければならない。許可を受けた実験計画を変更しようとする場合も同様とする。
2 学長は、第一種使用等に係る実験計画の申請書が提出された場合には、地区委員会の審議を経た上で、理事長を通じて文部科学省大臣の承認を受けるものとする。
3 学長は、前項の承認を受けたときは、実験管理者に通知するものとする。
(第二種使用等に係る実験計画の申請手続)
第20条 第二種使用等に係る遺伝子組換え実験等を実施しようとする場合、実験管理者は、その実験計画について、二種省令に定めるところにより、別に定める申請書等を学長に提出し、許可を受けなければならない。許可を受けた実験計画を変更しようとする場合も同様とする。
2 前項に定める実験計画のうち、文部科学大臣の確認を必要とする実験(以下、「大臣確認実験」という。)を実施しようとする場合、実験管理者は、その実験計画について、二種省令に定めるところにより、別に定める申請書等を学長に提出しなければならない。確認を受けた実験計画を変更しようとする場合も同様とする。
3 学長は、前項の大臣確認実験の承認を与える決定を行う場合において、理事長を通じてあらかじめ文部科学大臣の承認を受けるものとする。
4 第1項で許可を受けた遺伝子組換え実験等の実験期間内に、軽微な変更が生じる場合は、実験管理者は、その変更について事前に学長に届け出なければならない。なお、軽微な変更の詳細については、各地区委員会で別に定める。
(実験計画の審査)
第21条 学長は、前条第1項の規定による申請書等の提出があったときは、地区委員会の審査を経て、遺伝子組換え実験等の実験計画の許可又は不許可その他遺伝子組換え実験等に関し必要な事項の決定を行い、速やかにその旨を当該実験管理者に通知するものとする。
3 前2項の地区委員会の審査は、二種省令に定める基準に基づいて行うものとする。
(実験試料及び廃棄物の取扱い)
第22条 実験従事者は、実験開始前及び実験中において常時実験に用いられる核酸供与体、宿主、ベクター等が生物学的封じ込めの条件を満たすものであることを厳重に確認するとともに、実験試料及び廃棄物の取扱いに当たっては、法に定められた措置を講じなければならない。
(実験の終了又は中止の報告)
第23条 実験管理者は、実験を終了し、又は中止した場合には、その旨を別に定める様式により、学長に報告しなければならない。
(保管)
第24条 遺伝子組換え生物等の保管(遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる保管を除く。)についての取扱い等は、各地区委員会で別に定める。
(施設・設備の管理及び保全)
第25条 実験管理者は、法、二種省令及びこの規則の定めるところにより、施設・設備の管理及び保全を行い、拡散防止措置等の基準に適合するよう努めなければならない。
2 実験管理者は、当該施設の入口に実験レベルに応じた入室制限等の表示等の措置を講じなければならない。
(教育訓練等)
第26条 実験管理者は、実験従事者に対し、実験の開始前に、学長が中央委員会を通じて実施する所定の教育訓練(以下「教育訓練」という。)を受けさせなければならない。
2 中央委員会は、前項の規定にかかわらず、教育訓練と同等な内容であると中央委員会が認めた学生授業及び講習等に限り、当該教育素材の受講をもって、教育訓練を受けさせたとみなすことができる。
(健康管理)
第27条 部局長は、当該部局所属の実験従事者に対し、法に定めるところにより、必要な健康管理を行わなければならない。
2 実験従事者は、絶えず自己の健康に注意するとともに、健康に変調を来たした場合又は重傷若しくは長期にわたる病気にかかったときは、実験管理者に報告しなければならない。この事実を知り得た者も、これと同様とする。
(緊急事態発生時の措置)
第28条 地震・火災等の災害若しくは実験中・輸送中の事故等により、遺伝子組換え生物による汚染が発生し、又は発生するおそれのある事態を発見した者は、直ちに適切な措置を講ずるとともに、速やかに当該実験管理者及び安全主任者に通報しなければならない。
2 前項の通報を受けた実験管理者及び安全主任者は、相互に連絡し、応急の措置を講ずるとともに、実験管理者は所属の部局長、安全主任者は学長に、緊急事態発生の現状等を速やかに報告しなければならない。
3 前項の報告を受けた学長は、実験に係る事故の発生が認められた場合には、直ちに文部科学省研究振興局ライフサイエンス課に報告しなければならない。
(記録及び保存)
第29条 実験管理者は、遺伝子組換え実験等及び遺伝子組換え生物等の使用等の態様、地区委員会等における検討結果、遺伝子組換え生物等の譲渡若しくは提供又は委託(以下「譲渡等」という。)に際して提供し、又は提供を受けた情報等を記録し、保管しなければならない。
2 実験管理者は、実験の結果、法又は二種省令の改正を必要とするような重要な新知見が得られた場合は、速やかに中央委員会に報告しなければならない。
3 前項の報告を受けた中央委員会は、当該新知見の内容について中央委員会で確認及び議論を行い、その結果について理事長及び学長へ報告しなければならない。
4 学長は、前項の報告があったときは、理事長を通じて文部科学大臣に報告しなければならない。
(遺伝子組換え生物等の譲渡等の届出手続)
第30条 遺伝子組換え生物等を譲渡し、若しくは提供し、又は委託による使用等をさせようとするときは、実験管理者は、地区委員会ごとに定める様式により地区委員会委員長に届け出なければならない。
2 実験管理者が、遺伝子組換え生物等の譲渡等を受けようとするときは、前項の規定に準じて届け出を行わなければならない。この場合において、届出の詳細な要件については、各地区委員会で別に定める。
3 地区委員会の委員長は、前2項の届出があったときには、届出内容について確認をしなければならない。
4 実験管理者は、次に掲げる事項を遵守の上、譲渡等を行い、又は譲渡等を受けるものとする。
一 法第26条第1項の規定に基づき、譲渡等を受ける者に対する情報の提供を行い、又は譲渡等をする者から情報の提供を受けること。
二 当該譲渡等及び情報提供の内容及び方法を記録し、それを保存すること。
(輸出に関する措置)
第31条 遺伝子組換え生物等の輸出に関する措置については、法第27条から第29条まで及び施行規則第35条から第38条までによるものとする。
(特定病原体に係る学内運搬)
第32条 実験管理者は、遺伝子組み換え生物等のうち、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)で規定する一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種病原体等を学内運搬する際は、学長に申請し承認を得なければならない。
(雑則)
第33条 この規則に定めるもののほか、遺伝子組換え生物等の実験等に係る安全確保に関し必要な事項は、中央委員会の議を経て、学長が別に定める。
附則
1 この規則は、令和6年10月1日から施行する。
2 次に掲げる規則は、廃止する。
一 国立大学法人東京工業大学遺伝子組換え実験等安全管理規則(平成16年規則第172号)
二 国立大学法人東京医科歯科大学遺伝子組換え生物等の実験安全管理規則(平成16年規則第176号)