○国立大学法人東京科学大学における公正な研究活動に関する規則

令和6年12月6日

規則第162号

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 研究者の責任(第3条)

第3章 責任体制(第4条―第8条)

第4章 不正行為を抑止する環境整備(第9条・第10条)

第5章 不正行為の通報及び告発(第11条・第12条)

第6章 雑則(第13条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規則は、国立大学法人東京科学大学(以下「大学」という。)における公正な研究活動の推進のために、大学及び研究者の責任を明確にしたうえで、研究活動における不正行為の事前防止に努めるとともに、大学の研究活動の質の担保や科学技術に対する信頼の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この規則において「教育研究資金」とは、大学の責任において管理する全ての資金をいう。

2 この規則において「部局」とは、各学院、各研究科、各学部、リベラルアーツ研究教育院、総合研究院、未来社会創成研究院、新産業創成研究院、附属科学技術高等学校、病院、各共通教育組織、各共通支援組織及び各理事等支援組織をいう。

3 この規則において「研究者」とは、大学において研究活動を行っている全ての者をいう。

4 この規則において「構成員」とは、大学に所属する全ての職員(非常勤を含む。)及び学生をいう。

5 この規則において「不正行為」とは、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる次に掲げる行為をいう。

 捏造 存在しないデータ、研究結果等を作成する行為

 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為

 盗用 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用する行為

 二重投稿(二重出版) 著者自身によって既に公表されていることを開示することなく、同一の情報を投稿し、発表する行為。ただし、投稿先学術雑誌等の規定を満たし、二重投稿と解されない状態となったものを除く。

 不適切なオーサーシップ 著者としての資格がない者を著者として含める行為及び著者としての資格を有する者を除外する行為

 その他研究者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしい行為

第2章 研究者の責任

(研究者の責任)

第3条 研究者は、不正行為が研究活動及びその成果発表の本質に反するものであるということを深く認識するとともに、科学研究の実施は社会からの信頼と負託の上に成り立っていることを自覚し、公正な研究活動を遂行しなければならない。

2 研究者は、共同研究における個々の研究者間の役割分担・責任の明確化等により責任ある研究の実施に努めるとともに、研究データの適正な記録保存や厳正な取扱いの徹底など不正行為の防止を可能とする研究管理を行わなければならない。

3 研究者は、自らの研究活動によって得られた成果を客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、研究者コミュニティへの公開を行うものとする。

4 研究者は、研究の実施にあたり、個人情報の取扱い・守秘義務・知的財産等に留意するとともに、法令や大学の規則等を遵守しなければならない。

5 研究者は、不正行為の疑惑を晴らそうとする場合、自己の責任において科学的根拠を示し、説明しなければならない。

第3章 責任体制

(最高管理責任者)

第4条 大学に、大学全体を統括し、公正な研究活動について最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き、理事長をもって充てる。

2 最高管理責任者は、不正防止対策の基本方針(以下「基本方針」という。)を策定・周知するとともに、それらを実施するために必要な措置を講じる。

3 最高管理責任者は、次条に定める統括管理責任者及び第7条に定める研究倫理教育責任者が責任を持って公正な研究活動の管理が行えるよう、適切にリーダーシップを発揮しなければならない。

4 最高管理責任者は、不正行為が行われる可能性が常にあるという認識の下で、不正行為を誘発する要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなければならない。

(統括管理責任者)

第5条 大学に、最高管理責任者を補佐し、公正な研究活動について大学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下「統括管理責任者」という。)を置き、学長をもって充てる。

2 統括管理責任者は、不正防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者として、基本方針に基づき、大学全体の具体的な対策を策定・実施し、実施状況を確認するとともに、実施状況を最高管理責任者に報告しなければならない。

(研究倫理教育責任者)

第6条 部局に、部局における公正な研究活動について実質的な責任と権限を持つ者(以下「研究倫理教育責任者」という。)を置く。

3 研究倫理教育責任者は、統括管理責任者の指示の下、自己の管理監督又は指導する部局における不正防止対策を主体的に実施し、その実施状況を統括管理責任者に報告しなければならない。

4 研究倫理教育責任者は、統括管理責任者の指示の下、不正防止を図るため、部局内の全ての研究者に対し、研究倫理教育を実施し、受講状況及び理解度を管理監督するとともに、研究倫理教育の実施状況を速やかに統括管理責任者に報告しなければならない。

5 研究倫理教育責任者は、統括管理責任者の指示の下、自己の管理監督又は指導する部局において、研究分野の特性を考慮した上で、研究者が研究倫理教育に基づいて公正な研究活動を行っているかをモニタリングし、必要に応じて改善を指導しなければならない。

(研究倫理教育副責任者)

第7条 研究倫理教育責任者は、前条第3項から第5項までの事項を実効的に遂行するため、運営・管理規則第6条第1項に定めるコンプライアンス推進副責任者を研究倫理教育副責任者として置くことが出来る。

2 研究倫理教育責任者は、研究倫理教育副責任者の任命に当たり、責任の範囲を明確にしなければならない。

3 研究倫理教育副責任者は、研究倫理教育責任者を補佐し、研究倫理教育の実施に協力するとともに、自己の責任の範囲において日常的に実効的な研究倫理教育の浸透度の管理を行い、必要に応じて管理状況を研究倫理教育責任者に報告しなければならない。

(責任体系の公表)

第8条 前4条に規定する各責任者の職名は、大学のホームページ等を通じて、この規則とともに学内外に公表するものとする。

第4章 不正行為を抑止する環境整備

(研究倫理教育)

第9条 研究倫理教育は、運営・管理規則第5条第3項に定めるコンプライアンス教育又は運営・管理規則第9条第3項に定める統括管理責任者が行う研修会で実施するものとし、対象となる研究者全員に3年度ごとに1回の頻度で受講を義務付ける。

2 研究倫理教育の内容は、研究者に求められる倫理規範を修得させることを主な目的とし、次の事項を含むものとする。

 研究者の基本的責任

 研究活動に対する姿勢などの研究者の行動規範

 研究データとなる実験・観察ノート等の記録媒体の作成(作成方法等を含む。)・保管や実験試料・試薬の保存

 論文作成の際の各研究者間における役割分担・責任関係の明確化

 その他研究活動に関して守るべき作法についての知識や技術

3 研究倫理教育責任者は、学生の研究者倫理に関する規範意識を徹底していくため、大学の教育研究の目的及び専攻分野の特性に応じて、学生に対する研究倫理教育を実施するものとする。学生に対する研究倫理教育においては、実際に起こりうる課題に対応できるような判断力を養うために、利益相反の考え方や守秘義務についても修得させるものとする。

4 研究倫理教育の実施時期・対象者等の実施に関する事項は、研究倫理教育責任者が決定するものとする。大学院生に対する研究倫理教育については、教育課程内外を問わず、適切な機会を設けて実施するものとし、学士課程学生に対しても研究者倫理に関する基礎的素養が習得できるように配慮する。

5 研究倫理教育を受講した研究者(学生を除く。)は、研究倫理教育責任者に別に定める誓約書を提出しなければならない。ただし、既に提出している者については、この限りでない。

(研究データの保存・開示)

第10条 研究者は、研究成果の発表とは研究活動で得られた成果を客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、研究者コミュニティに向かって公開し、その内容について吟味・批判を受けることであることを認識し、研究データを適切に保存・管理しなければならないとともに、必要に応じて当該研究データを開示しなければならない。

2 前項の研究データは、10年間は保存しなければならない。ただし、分野の特性により研究者コミュニティが10年間を超える保存期間を定めた場合は、その保存期間によるものとする。

3 前2項の研究データの保存については、研究成果の第三者による検証可能性を確保できる方法により実施するものとし、研究者コミュニティ等が保存方法を指定している場合は、それに従うものとする。

4 第2項の保存期間中に、研究者の故意による研究データの破棄や不適切な管理による紛失によって、不正行為の疑義を払拭できない事態が生じた場合の責任は、当該研究者に帰属するものとする。

第5章 不正行為の通報及び告発

(不正行為)

第11条 研究者は、不正行為を行ってはならない。

(通報・告発及び調査)

第12条 研究活動に係る不正行為に関する告発を受け付け、またその行為に関する相談に応じるため、研究推進部研究企画課に通報・相談窓口を置く。

2 大学の構成員は、研究活動の不正行為の事実を知った時は、前条の窓口に対し、通報又は告発(以下「通報等」という。)することができる。

3 大学は、不正行為の通報等の制度を機能させるため、構成員に各種研修・コンプライアンス教育を通じて、具体的な利用方法等を周知徹底する。

4 大学は、学外の者に対し、通報・相談窓口の仕組み(連絡先、方法、通報者の保護を含む手続等)についてホームページ等で公表し、周知を図る。

5 第1項に定める通報等は、原則として、通報者の氏名等を明らかにして行うものとする。

6 通報等その他の手段により、不正行為の事実又はそのおそれがあると知った場合、理事長は、当該事実等について調査を命じることができる。

7 通報等の取扱い及び前項に規定する調査については、別に定める。

第6章 雑則

(雑則)

第13条 この規則に定めるもののほか、公正な研究活動推進に関する必要な事項は、別に定める。

1 この規則は、令和6年12月6日から施行し、次項の規定以外の規定は、令和6年10月1日から適用する。

2 国立大学法人東京工業大学における公正な研究活動に関する規則(平成27年規則第16号)は、廃止する。

国立大学法人東京科学大学における公正な研究活動に関する規則

令和6年12月6日 規則第162号

(令和6年12月6日施行)