○東京科学大学学生の懲戒等に関する規程

令和6年10月1日

規程第122号

(趣旨)

第1条 この規程は、東京科学大学学則(令和6年学則第1号。以下「学則」という。)第45条第3項及び東京科学大学大学院学則(令和6年学則第2号。以下「大学院学則」という。)第58条第3項の規定に基づき、東京科学大学(以下「本学」という。)における学生の懲戒及び教育的措置(以下「懲戒等」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。

(基本的な考え方)

第2条 懲戒等は、対象となる行為の態様、経緯、結果、影響等を総合的に判断し、教育的配慮を加えて行うものでなければならない。

2 懲戒等によって学生に科せられる不利益は、過重なものとなってはならない。

3 懲戒等の取扱いについては、刑事訴追の有無を処分決定の絶対的な基準とはしないものとする。

(懲戒等の対象となる行為)

第3条 懲戒等の対象となる行為は、次に掲げるとおりとする。

 犯罪行為又は犯罪未遂行為

 試験における不正又は論文の作成における不正等学問的倫理に反する行為

 本学の教育研究活動を妨害する行為

 本学の名誉・信用を失墜させる行為

 本学の規則に違反する行為

 その他学生の本分に著しく反する行為

(懲戒処分の種類及び内容)

第4条 懲戒処分の種類及び定義は、次に掲げるとおりとする。

 退学 本学の学生としての身分を喪失させること。

 停学 6月以下の期間を定めて、又は期間を定めずに、登校を禁じること。

 訓告 文書により注意を与え、将来を戒めること。

2 停学期間の計算は、暦日によるものとする。

3 停学期間は、在学期間に算入する。ただし、卒業又は修了に係る在学期間の要件においては、在学期間に算入しない。

4 停学期間が1月以内の場合には、前項ただし書の規定は適用しない。

5 停学又は訓告の懲戒処分を受けた学生は、学長に反省文を提出しなければならない。

(教育的措置)

第5条 学院、学部及び研究科(以下「学院等」という。)の長(以下「学院長等」という。)は、第3条に規定する行為を行った当該学院等に所属する学生が、懲戒処分に相当しないとされた場合においても、学生の本分についての反省を促すため、当該学生に対し、次に掲げる教育的措置を行うことができる。

 厳重注意 口頭又は文書により、強く反省を求めること。

 注意 口頭又は文書により、反省を求めること。

(停学期間中の措置)

第6条 停学期間中の学生は、授業科目等の履修、定期試験等の受験、学位論文審査の申請、大学施設の利用及び課外活動への参加をすることができない。ただし、大学施設の利用については、学院長等が、特に必要と認めた場合は、許可することがある。

2 停学期間中の学生に対しては、当該学院等は、面談等により、更生に向けた指導を適宜行うものとする。

3 前項に規定する面談等は、必要に応じカウンセラー等の専門家の協力を得て行うことができるものとする。

4 停学期間中の休学の願い出は、受理しないものとする。

(定期試験等における不正行為)

第7条 定期試験等における不正行為を行った学生が、当該不正行為を行った学期に受験した定期試験等は全て無効とし、当該学期に履修した授業科目の成績を0点又は不合格とする。ただし、学期又は学年をまたぎ開講される授業科目の取扱いは別に定める。

2 定期試験等における不正行為を行った学生は、当該不正行為を行った学期において、新たに授業科目の履修は認めないものとする。

(謹慎)

第8条 学生が懲戒に該当する行為を行ったことが明白であり、かつ、停学以上の懲戒がなされることが確実である場合は、学長は、当該学生に懲戒等の決定前に謹慎を命ずることができる。この場合において、謹慎開始日から懲戒等の決定した日までの間は懲戒に準じ、当該学生の登校等を禁止する。

2 謹慎の期間は、その全部又は一部を停学期間に通算することができる。

(自宅待機)

第9条 学院長等は、ハラスメントの防止その他の教育上の配慮が求められる場合は、第3条に規定する行為を行ったことが明白な学生に対し、懲戒等が決定するまでの間、自宅待機を命じることができる。

2 学院長等は、自宅待機を命じた学生に、授業科目の履修、大学施設の利用及び課外活動への参加を制限することができる。

3 自宅待機の期間は停学期間に含めないものとする。

4 自宅待機の期間中に謹慎に変更となる場合は、変更日から謹慎の扱いとする。

(懲戒等の決定前の休学又は自主退学)

第10条 学長は、第3条に規定する行為を行った学生が、懲戒等の決定前に休学又は退学を願い出た場合は、受理しないものとする。

(調査委員会)

第11条 学院長等は、学生の懲戒等の対象となる事案について、事実の確認及び当該学生を含む関係者への事情聴取(以下「事実調査」という。)を行うため、調査委員会を置くものとする。

2 異なる学院等に所属する複数の学生が関与している事案については、当該学生の所属する学院等で合同の調査委員会を置くことができる。合同の調査委員会を置かない場合であっても、各学院等の調査委員会は、相互に連携して事実調査を行うものとする。

3 前2項の規定にかかわらず、第3条第2号に係る事案については、ハラスメント対策委員会が行う事実調査をもって、同条第3号に係る事案については、情報倫理委員会が行う事実調査をもって、調査委員会及び事実調査に代えるものとする。

(学生懲戒審査委員会)

第12条 懲戒処分の要否及び懲戒処分を要する場合のその内容の案(以下「処分案」という。)、期間の定めのない停学の解除の可否及び不服申立の調査等について審議するため、学長の下に学生懲戒審査委員会(以下「審査委員会」という。)を置く。

2 審査委員会は、次に掲げる委員を持って組織する。

 理事のうちから学長が指名する者 1人

 副学長のうちから学長が指名する者 若干人

 学院を主担当する専任の教授のうちから学長が指名する者 1人

 大学院医歯学総合研究科、大学院保健衛生学研究科、医学部及び歯学部(以下「研究科等」という。)に所属する専任の教授から学長が指名する者 1人

 学長が委嘱する学外有識者 1人

 その他学長が必要と認める者

3 審査委員会に委員長を置き、前項第1号の委員をもって充てる。

4 委員長は、審査委員会を招集し、その議長となる。

5 審査委員会には、必要に応じ班を設けることができる。

6 審査委員会は、必要があると認めた場合は、オブザーバーとして委員以外の者の出席を求め、その意見を聞くことができる。

(審査委員会に置ける議決)

第13条 審査委員会は、構成員の3分の2以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。

2 審査委員会の議事は、出席者の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(懲戒等の手続)

第14条 学院長等は、学生について、懲戒等の対象となる事案が生じた場合は、速やかに事実関係を把握し、審査委員会を通じて学長に報告するとともに、調査委員会に、事実調査を行わせるものとする。

2 調査委員会は、調査に当たり当該学生に対し事情聴取を行うものとする。ただし、学生が心身の故障、身柄の拘束その他の事由により直接事情聴取を受けることができないときは、これに替えて文書による質問、照会等により事情聴取することができる。

3 調査委員会は、事情聴取に際し、学生から補佐人の同席及び補佐人からの陳述について求めがあった場合は、これに応じなければならない。ただし、事情聴取の妨げになると調査委員会が認めた場合、補佐人の数を制限することができる。

4 調査委員会は、事情聴取に際し、当該学生に口頭又は文書により弁明する機会を与えるものとする。ただし、学生が、正当な理由なく事情聴取に応ぜず、弁明しない場合は、この権利を放棄したものとみなす。

5 学生は、本学が行う必要な調査については、誠実に協力しなければならない。

6 調査委員会は、事実調査の結果に基づき、調査結果報告書を作成し、学院長等に報告するものとする。

7 学院長等は、前項の報告を受けたときは、審査委員会に調査結果報告書を報告するものとする。

8 審査委員会は、前項の報告を受けたときは、学長に報告するとともに審査委員会において処分案の審議を開始するものとする。

9 審査委員会は、処分案の審議に当たり、事実関係の再調査が必要と認めた場合は、学生又は補佐人等から事情聴取を行うことができる。

10 第2項及び第3項の規定は、前項の事情聴取について準用する。

11 審査委員会は、処分案を作成し、学長に報告するものとする。

12 学長は、前項の報告を受けたときは、審査委員会を通じて学院長等に処分案を通知するものとする。

13 学院長等は、前項の規定により通知を受けた処分案が懲戒処分を要するものであったときは、処分案の審議を教授会に付議し、審査委員会を通じてその審議結果を学長に報告するものとする。この場合において、教授会の審議結果が審査委員会の処分案と異なる場合は、その理由を付するものとする。

(懲戒処分の決定)

第15条 学長は、前条第13項の報告に基づき、懲戒処分の要否及び懲戒処分を要する場合のその内容を決定し、審査委員会を通じて学院長等に通知するものとする。

(懲戒等の告知)

第16条 懲戒等の効力は、学生に懲戒等を告知したときに生じるものとする。

2 懲戒処分の告知は、前条の通知を受けた学院長等が学生及び保護者等又は連絡先人に懲戒処分通知書を交付して行うものとする。ただし、学生の所在を知ることができない場合においては、公示送達又は他の適切な方法により行うものとする。

3 教育的措置の告知は、学院長等が学生に行うものとする。

(懲戒処分の告示等)

第17条 学長は、懲戒処分を行ったときは、教育研究評議会に報告するとともに、学生の氏名を伏して学内に告示するものとする。

2 学院長等は、教育的措置を行ったときは、教育研究評議会に報告するものとする。

(懲戒に関する記録)

第18条 懲戒処分を行ったときは、学生の学籍簿の「特記事項」又は累加記録に記載するものとする。

(逮捕・勾留時の取扱い)

第19条 学生が逮捕・勾留され、学生からの事情聴取を行うことができない場合においては、事情聴取及び弁明の機会が付与されないことにより学生の権利を損なうことがないよう十分に配慮した上で懲戒等を行うことができる。

(期間を定めない停学の解除)

第20条 学院長等は、期間を定めない停学の処分を受けた学生について、その反省の程度及び学修意欲等を総合的に判断して、処分を解除することが妥当であると認めた場合は、教授会の議を経て、審査委員会を通じて学長に対し、当該処分の解除を申請することができる。

2 学長は、前項の申請があったときは、当該処分の解除の可否の審議を審査委員会に依頼するものとする。

3 審査委員会は、当該処分の解除の可否を審議し、学長に報告するものとする。

4 学長は、前項の報告を受けたときは、審査委員会を通じて学院長等に審査委員会の審議結果を通知するものとする。

5 停学処分解除の告知は、学院長等が学生に停学処分解除通知書を交付して行うものとする。

6 学長は、停学処分の解除を行ったときは、教育研究評議会に報告するものとする。

7 停学処分の解除を行ったときは、学生の学籍簿の「特記事項」又は累加記録に記載するものとする。

8 期間を定めない停学は、6月を経過した後でなければ解除することができないものとする。

(不服申立て)

第21条 懲戒処分を受けた学生は、事実誤認、新事実の発見その他正当な理由がある場合は、懲戒処分通知書を受け取った日の翌日から起算して14日以内に、文書により、学長に対し、審査委員会を通じて不服申立てをすることができる。

2 学長は、前項の不服申立てを受理したときは、不服申立てを却下する場合を除き、審査委員会の議を経て、速やかに再調査の要否を決定しなければならない。

3 前項において、学長が不服申立てを却下する場合又は再調査の必要がないと決定した場合は、速やかに、当該学生に通知するものとする。この場合の通知は、学院長等が学生に文書を交付して行うものとする。

4 第2項において、学長が再調査の必要があると決定した場合の調査等については、第14条から第18条までの規定を準用する。なお、当初の調査等を行った調査委員会の委員となった者については、再調査等を行う調査委員会の委員とすることはできない。

5 不服申立ては、懲戒処分の効力を妨げないものとする。

(科目等履修生等の懲戒等)

第22条 この規程の規定は、科目等履修生、特別聴講学生、海外交流学生、海外訪問学生、短期交流学生、大学院研究生及び特別研究学生の懲戒等について準用する。

(守秘義務)

第23条 学生の懲戒等に関する事項に関わった職員は、職務上知り得た情報を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(事務)

第24条 学生の懲戒等に関する事務は、教育推進部学生支援課において処理する。

(雑則)

第25条 この規程に定めるもののほか、学生の懲戒等に関し必要な事項は、別に定める。

1 この規程は、令和6年10月1日から施行する。

2 次に掲げる規程等は、廃止する。

 東京工業大学学生の懲戒等に関する規程(平成24年規程第1号。以下「旧東工大規程」という。)

 東京医科歯科大学における学生の懲戒に関する申合せ(平成20年2月8日申合せ。以下「旧医科歯科大申合せ」という。)

3 この規程の施行の日前にした行為に係る懲戒等については、旧東工大規程及び旧医科歯科大申合せの規定は、なおその効力を有する。ただし、令和7年4月1日以降、旧東工大規程の適用においては、この規程第12条の学生懲戒審査委員会を、旧東工大申合せ第11条の学生懲戒審査委員会とみなし、旧医科歯科大申合せの適用においては、この規程第12条の学生懲戒審査委員会を、旧医科歯科大申合せ6.(5)の懲戒委員会とみなす。

東京科学大学学生の懲戒等に関する規程

令和6年10月1日 規程第122号

(令和6年10月1日施行)

体系情報
東京科学大学/ [全学規則]/第7編 教育・学生支援
沿革情報
令和6年10月1日 規程第122号