○国立大学法人東京科学大学における教育研究資金の適正な運営・管理に関する規則
令和6年12月6日
規則第163号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 責任体系(第3条―第7条)
第3章 不正使用(第8条―第10条)
第4章 教育研究資金の不正防止計画(第11条―第13条)
第5章 情報発信・共有化の推進(第14条・第15条)
第6章 モニタリング(第16条・第17条)
第7章 雑則(第18条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規則は、国立大学法人東京科学大学(以下「大学」という。)における教育研究資金の適正な運営・管理に関する基本的な事項を定めることにより、教育研究資金の不正使用(以下「不正使用」という。)の防止を図り、教育研究資金の適正な運営・管理に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において「教育研究資金」とは、大学の責任において管理するすべての資金をいう。
2 この規則において「部局」とは、各学院、各研究科、各学部、リベラルアーツ研究教育院、総合研究院、未来社会創成研究院、新産業創成研究院、附属科学技術高等学校、病院、各共通教育組織、各共通支援組織、各理事等支援組織及び事務局をいう。
3 この規則において「部局長」とは、前項の部局の長をいう。
4 この規則において「職員等」とは、大学に所属する全ての職員(非常勤を含む。)、研究員、特別研究員、その他これらに類する者をいう。
第2章 責任体系
(最高管理責任者)
第3条 大学に、大学全体を統括し、教育研究資金の適正な運営・管理について最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き、理事長をもって充てる。
2 最高管理責任者は、不正防止対策の基本方針(以下「基本方針」という。)を策定・周知するとともに、それらを実施するために必要な措置を講じる。
4 最高管理責任者は、不正が行われる可能性が常にあるという認識の下で、不正を誘発する要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなければならない。
5 最高管理責任者は、不正防止対策の基本方針及びそれに基づく具体的な不正防止計画の策定に当たっては、役員会において審議を主導するとともに、その実施状況及び効果等について役員等と議論を深める。
6 最高管理責任者は、不正防止に向けた取組に対する様々な啓発活動を定期的に行い、職員等の意識の向上及び浸透を図る。
(統括管理責任者)
第4条 大学に、最高管理責任者を補佐し、教育研究資金の運営・管理について大学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下「統括管理責任者」という。)を置き、学長をもって充てる。
2 統括管理責任者は、不正防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者として、大学全体の具体的な対策である不正防止計画を基本方針に基づき策定するとともに、コンプライアンス教育及び啓発活動について、実施時期、内容等を含めた具体的な実施計画を策定しなければならない。
3 統括管理責任者は、コンプライアンス教育及び啓発活動の実施状況を最高管理責任者に報告しなければならない。
(コンプライアンス推進責任者)
第5条 部局に、部局における教育研究資金の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者(以下「コンプライアンス推進責任者」という。)を置き、部局長をもって充てる。
2 コンプライアンス推進責任者は、統括管理責任者の指示の下、自己の管理監督又は指導する部局における不正防止対策を実施し、その実施状況を統括管理責任者に報告しなければならない。
3 コンプライアンス推進責任者は、統括管理責任者の指示の下、不正防止を図るため、部局内の教育研究資金の運営・管理に関わる全ての職員等に対し、各年度1回以上コンプライアンス教育を実施するとともに、不正根絶に向けた継続的な啓発活動を実施する。
4 コンプライアンス推進責任者は、コンプライアンス教育の受講状況及び理解度並びに啓発活動について管理監督し、その状況を統括管理責任者に報告しなければならない。
5 コンプライアンス推進責任者は、自己の管理監督する部局において、職員等が適切に教育研究資金の管理、執行を行っているかモニタリングし、必要に応じて職員等に改善を指導する。また、モニタリングの結果を別に定める様式により半期ごとに統括管理責任者に報告しなければならない。
(コンプライアンス推進副責任者)
第6条 コンプライアンス推進責任者は、日常的な管理監督を行い得る体制を構築するため、各部局の定める範囲において複数のコンプライアンス推進副責任者を置くことができる。
2 コンプライアンス推進責任者は、コンプライアンス推進副責任者の任命にあたり、責任の範囲を明確にしなければならない。
3 コンプライアンス推進責任者は、第1項のほか、教育研究資金の管理・執行状況の把握のため、管理・執行の情報を着実に伝達しうる者をコンプライアンス推進副責任者に任命することができる。
4 コンプライアンス推進副責任者は、コンプライアンス推進責任者を補佐し、自己の責任の範囲において日常的に管理監督を行い、管理状況をコンプライアンス推進責任者に報告しなければならない。
(監事)
第6条の2 監事は、不正防止に関する内部統制の整備・運用状況について大学全体の観点から確認し、意見を述べるものとする。
2 監事は、モニタリング又は内部監査によって明らかになった不正発生要因の不正防止計画への反映状況及び不正防止計画の実施状況について確認し、意見を述べるものとする。
第3章 不正使用
(不正使用の禁止)
第8条 職員等は、教育研究資金の本来の目的に沿って、教育研究資金を適切に使用するものとし、次に掲げる行為は不正使用としてこれを禁止する。
一 物品等が納品されていないにもかかわらず、納品されたように装い、当該物品の代金を不正に請求し、取引業者の口座等に振り込ませる行為
二 勤務した実績がないにもかかわらず、勤務したかのように装い、給与を不正に支給させる行為
三 国立大学法人東京科学大学旅行命令等規則(令和6年規則第56号)第2条第1号に定める旅行命令(以下「旅行命令」という。)に従い出張した実績がないにもかかわらず、旅行命令に従い出張したかのように装い、旅費を不正に支給させる行為
四 各教育研究資金の目的に合致しない用途に使用する行為
五 前各号のほか、大学に不当に請求し、正当ではない金額を大学に支払わせる行為
(関係者の意識向上)
第9条 職員等は、この規則のほか、大学の諸規則や教育研究資金の趣旨・取扱いを正しく理解するとともに、教育研究資金の適正な使用に努めなければならない。
3 統括管理責任者は、大学の不正防止に向けた方針や取組を職員等に正しく認識させるために、研修を実施し、次に掲げる事項について周知徹底を図る。
一 大学の不正防止対策に関する方針
二 不正が生じた場合の大学への影響
三 教育研究資金の運用ルール・事務手続き及び告発等の制度などの遵守すべき事項
四 不正が発覚した場合の懲戒処分と弁済責任
五 配分機関における申請資格等の制限、教育研究資金の返還等の措置
六 その他研究者倫理に関する事項
4 職員等は、前項の研修を3年に1回の頻度で参加しなければならない。また、当該研修に参加しない職員等については、教育研究資金の申請・受給及び運営・管理に関わることを認めない。
(通報・告発)
第10条 不正使用に関する告発を受け付け、また不正使用に関する相談に応じるため、研究推進部研究企画課に通報・相談窓口を置く。
2 職員等は、不正使用の事実を知った時は、前条の窓口に対し、通報又は告発(以下「通報等」という。)することができる。
3 大学は、不正の通報等の制度を機能させるため、職員等に各種研修・コンプライアンス教育を通じて、具体的な利用方法等を周知徹底する。
4 大学は、取引業者等の外部者に対し、通報・相談窓口の仕組み(連絡先、方法、通報者の保護を含む手続等)についてホームページ等で公表し、周知を図る。
5 第1項に定める通報等は、原則として、通報者の氏名等を明らかにして行うものとする。
6 通報等の取扱いについては、別に定める。
7 第1項に定める通報等又は他の手段により、不正使用の事実又はそのおそれがあることを知った場合、理事長は、別に定めるところにより、当該事実について調査を命じることができる。
第4章 教育研究資金の不正防止計画
(不正を発生させる要因の把握)
第11条 大学は、不正を発生させる要因の把握に取り組み、必要な措置を講じることにより、不正使用の発生の防止に努める。
(不正防止計画・推進部)
第13条 最高管理責任者のもとに不正防止計画・推進部(以下「推進部署」という。)を置き、前条の不正防止計画の策定にあたり統括管理責任者を補佐するとともに、当該計画の推進を担当する。
2 推進部署は、研究推進部をもって充てる。
3 コンプライアンス推進責任者は、不正根絶のために、推進部署と協力し、主体的に不正防止計画を実施する。
4 コンプライアンス推進責任者は、不正防止計画の進捗状況を統括管理責任者に報告し、共有しなければならない。
第5章 情報発信・共有化の推進
(研究支援窓口)
第14条 研究推進部研究企画課に研究支援窓口を置き、次に掲げる業務を行う。
一 情報提供(教育研究資金の適正な運用・管理を行うため、職員等に手続きや使用ルールをわかりやすく取りまとめ、大学ホームページ等で情報提供する。)
二 相談受付(学内外からの研究に関する相談を受け付ける。)
(業者に対しての周知)
第15条 大学は、建築工事を除く競争参加資格を有する者及びその他の者(以下「業者」という。)が、第18条各号に定める不正使用とする行為への加担を防止するために、業者に対して次に掲げる内容を周知しなければならない。
一 調達に関する大学の基本方針
二 国立大学法人東京科学大学契約事務取扱規程(令和6年規程第79号)第30条に定める誓約書の内容
三 会計事務総括責任者が別に定める取引停止期間
四 その他調達に関する諸規則及び必要な事項
第6章 モニタリング
(モニタリング・内部監査)
第16条 大学は、教育研究資金の適正な運営・管理のため、大学全体の視点から実効性のあるモニタリング体制を整備・実施する。
2 大学全体のモニタリングは、推進部署と連携して監査室が行う。
3 内部監査は、毎年度定期的に、ルールに照らして会計書類等の形式的要件等が具備されているかなど、財務情報に対するチェックを一定数実施するほか、教育研究資金の管理体制についても検証する。
(リスクアプローチ監査)
第17条 監査室は、不正を発生させる要因について分析し、不正使用が発生するリスクに対して重点的にサンプルを抽出し、抜き打ちなどを含めたリスクアプローチ監査を推進部署と連携し実施する。
2 リスクアプローチ監査の実施に当たっては、前条第2項に基づくモニタリングの実施によって推進部署が把握したリスクについて、そのリスクが大学に与える影響の重要性と監査の効率性や最適化を踏まえるなどのリスクアプローチの観点から、監査計画やその手法を適切に見直した上で行うものとする。
3 監査室は、監事及び会計監査人と連携して、効率的・効果的かつ多面的な監査を実施する。
4 モニタリング、内部監査及びリスクアプローチ監査で得られた結果は、コンプライアンス教育の一環として大学内で周知し、類似事例の再発防止を徹底する。
第7章 雑則
(雑則)
第18条 この規則に定めるもののほか、教育研究資金の適正な運営・管理の実施のために必要な事項は、別に定める。
附則
1 この規則は、令和6年12月6日から施行し、次項の規定以外の規定は、令和6年10月1日から適用する。
2 国立大学法人東京工業大学教育研究資金の適正な運営・管理に関する規則(平成27年規則第14号)は、廃止する。