○国立大学法人東京工業大学における公正な研究活動に関する規則

平成27年3月6日

規則第16号

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 大学及び研究者の責任(第3条・第4条)

第3章 責任体制(第5条―第9条)

第4章 不正行為を抑止する環境整備(第10条・第11条)

第5章 研究活動における特定不正行為及び不適切な行為(第12条・第13条)

第6章 特定不正行為の調査(第14条・第15条)

第7章 特定不正行為に関与した者への措置(第16条―第19条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規則は,国立大学法人東京工業大学(以下「大学」という。)における公正な研究活動の推進のために,大学及び研究者の責任を明確にしたうえで,研究活動における不正行為の事前防止に努めるとともに,大学の研究活動の質の担保や科学技術に対する信頼の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この規則において「教育研究資金」とは,大学の責任において管理するすべての資金をいう。

2 この規則において「部局」とは,各学院,リベラルアーツ研究教育院,科学技術創成研究院,各研究拠点組織,附属科学技術高等学校,附属図書館,各共通教育組織,各共通支援組織等及び技術部をいう。

3 この規則において「研究活動」とは,大学において,教育研究資金により行われる全ての研究活動をいう。

4 この規則において「研究者」とは,大学において研究活動を行っている全ての者をいう。

5 この規則において「構成員」とは,大学に所属する全ての職員(非常勤を含む。)及び学生をいう。

6 この規則において「不正行為」とは,第12条第1項に定める「特定不正行為」をいう。

第2章 大学及び研究者の責任

(大学の責任)

第3条 大学は,組織としての責任体制の確立による管理責任の明確化を図るとともに,不正行為を事前に防止する取組の推進に努めなければならない。

2 大学は,前項に基づき,不正行為疑惑の調査手続や方法等に関する規程・体制の整備を行い,それを学内外に公表する。また,研究者間の役割分担・責任の明確化,代表研究者による研究成果の確認,若手研究者へのメンター配置等を実効的かつ組織的に取り組む。

(研究者の責任)

第4条 研究者は,科学研究の実施は社会からの信頼と負託の上に成り立っていることを自覚し,公正な研究活動を遂行しなければならない。

2 研究者は,共同研究における個々の研究者間の役割分担・責任の明確化等により責任ある研究の実施に努めるとともに,研究データの適正な記録保存や厳正な取扱いの徹底など不正行為の防止を可能とする研究管理を行わなければならない。

3 研究者は,自らの研究活動によって得られた成果を客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ,研究者コミュニティへの公開を行うものとする。

4 研究者は,研究の実施にあたり,個人情報の取扱い・守秘義務・知的財産等に留意するとともに,法令や大学の規則等を遵守しなければならない。

5 研究者は,不正行為の疑惑を晴らそうとする場合,自己の責任において科学的根拠を示し,説明しなければならない。

第3章 責任体制

(最高管理責任者)

第5条 大学に,大学全体を統括し,公正な研究活動について最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き,学長をもって充てる。

2 最高管理責任者は,不正防止対策の基本方針(以下「基本方針」という。)を策定・周知するとともに,それらを実施するために必要な措置を講じる。

3 最高管理責任者は,次条に定める統括管理責任者及び第7条に定める研究倫理教育責任者が責任を持って公正な研究活動の管理が行えるよう,適切にリーダーシップを発揮しなければならない。

4 最高管理責任者は,不正行為が行われる可能性が常にあるという認識の下で,不正行為を誘発する要因を除去し,十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなければならない。

(統括管理責任者)

第6条 大学に,最高管理責任者を補佐し,公正な研究活動について大学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下「統括管理責任者」という。)を置き,研究を担当する理事・副学長をもって充てる。

2 統括管理責任者は,不正防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者として,基本方針に基づき,大学全体の具体的な対策を策定・実施し,実施状況を確認するとともに,実施状況を最高管理責任者に報告しなければならない。

(研究倫理教育責任者)

第7条 部局に,部局における公正な研究活動について実質的な責任と権限を持つ者(以下「研究倫理教育責任者」という。)を置く。

3 研究倫理教育責任者は,統括管理責任者の指示の下,自己の管理監督又は指導する部局における不正防止対策を主体的に実施し,その実施状況を統括管理責任者に報告しなければならない。

4 研究倫理教育責任者は,統括管理責任者の指示の下,不正防止を図るため,部局内の全ての研究者に対し,研究倫理教育を実施し,受講状況及び理解度を管理監督するとともに,研究倫理教育の実施状況を速やかに統括管理責任者に報告しなければならない。

5 研究倫理教育責任者は,統括管理責任者の指示の下,自己の管理監督又は指導する部局において,研究分野の特性を考慮した上で,研究者が研究倫理教育に基づいて公正な研究活動を行っているかをモニタリングし,必要に応じて改善を指導しなければならない。

(研究倫理教育副責任者)

第8条 研究倫理教育責任者は,運営・管理規則第6条第1項に定めるコンプライアンス推進副責任者を研究倫理教育副責任者に任命するものとする。

2 研究倫理教育責任者は,研究倫理教育副責任者の任命にあたり,責任の範囲を明確にしなければならない。

3 研究倫理教育副責任者は,研究倫理教育責任者を補佐し,研究倫理教育の実施に協力するとともに,自己の責任の範囲において日常的に実効的な研究倫理教育の浸透度の管理を行い,必要に応じて管理状況を研究倫理教育責任者に報告しなければならない。

(責任体系の公表)

第9条 前4条に規定する各責任者の職名は,大学のホームページ等を通じて,本規則とともに学内外に公表するものとする。

第4章 不正行為を抑止する環境整備

(研究倫理教育)

第10条 研究倫理教育責任者が実施する研究倫理教育は,運営・管理規則第5条第3項に定めるコンプライアンス教育又は別の機会を通じて,少なくとも各年度に1回以上実施するものとし,対象となる研究者全員に受講を義務付ける。

2 研究倫理教育の内容は,研究者に求められる倫理規範を修得させることを主な目的とし,次の事項を含むものとする。

 研究者の基本的責任

 研究活動に対する姿勢などの研究者の行動規範

 研究データとなる実験・観察ノート等の記録媒体の作成(作成方法等を含む。)・保管や実験試料・試薬の保存

 論文作成の際の各研究者間における役割分担・責任関係の明確化

 その他研究活動に関して守るべき作法についての知識や技術

3 研究倫理教育責任者は,学生の研究者倫理に関する規範意識を徹底していくため,大学の教育研究の目的及び専攻分野の特性に応じて,学生に対する研究倫理教育を実施するものとする。学生に対する研究倫理教育においては,実際に起こりうる課題に対応できるような判断力を養うために,利益相反の考え方や守秘義務についても修得させるものとする。

4 研究倫理教育の実施時期・対象者等の実施に関する事項は,研究倫理教育責任者が決定するものとする。学生に対する研究倫理教育については,教育課程内外を問わず,適切な機会を設けて実施するものとし,学部学生に対しても研究者倫理に関する基礎的素養が習得できるように配慮する。

5 研究倫理教育を受講した研究者(特別研究員を含み,その他の学生は含まない。)は,研究倫理教育責任者に別に定める誓約書を提出しなければならない。ただし,既に提出している者についてはこの限りではない。

(研究データの保存・開示)

第11条 研究者は,研究成果の発表とは研究活動で得られた成果を客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ,研究者コミュニティに向かって公開し,その内容について吟味・批判を受けることであることを認識し,研究データを適切に保存・管理しなければならないとともに,必要に応じて当該研究データを開示しなければならない。

2 前項の研究データは,10年間は保存しなければならない。ただし,分野の特性により研究者コミュニティが10年間を超える保存期間を定めた場合は,その保存期間によるものとする。

3 前2項の研究データの保存については,研究成果の第三者による検証可能性を確保できる方法により実施するものとし,研究者コミュニティ等が保存方法を指定している場合は,それに従うものとする。

4 第2項の保存期間中に,研究者の故意による研究データの破棄や不適切な管理による紛失によって,不正行為の疑義を払拭できない事態が生じた場合の責任は,当該研究者に帰属するものとする。

第5章 研究活動における特定不正行為及び不適切な行為

(特定不正行為及び不適切な行為)

第12条 研究者は,次に掲げる不正行為(以下「特定不正行為」という。)を行ってはならない。

 捏造 存在しないデータ,研究結果等を作成する行為

 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い,データ,研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為

 盗用 他の研究者のアイディア,分析・解析方法,データ,研究結果,論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用する行為

2 研究者は,一般的に不正な行為と解されている以下の不適切な行為を行ってはならない。

 二重投稿(二重出版) 著者自身によって既に公表されていることを開示することなく,同一の情報を投稿し,発表する行為

 サラミ出版(分割出版) 一つの研究を複数の小研究に分割して細切れに出版する行為

 不適切なオーサーシップ 著者としての資格がない者を著者として含める行為,及び著者としての資格を有する者を除外する行為

(通報・告発)

第13条 大学の構成員は,研究活動の特定不正行為の事実を知った時は,国立大学法人東京工業大学公益通報者保護規程(平成18年規程第13号)第4条第1項に規定する総合通報・相談窓口に通報又は告発(以下「通報等」という。)することができる。

2 大学は,不正の通報等の制度を機能させるため,構成員に各種研修・コンプライアンス教育を通じて,具体的な利用方法等を周知徹底する。

3 大学は,学外の者に対し,総合通報・相談窓口の仕組み(連絡先,方法,通報者の保護を含む手続等)についてホームページ等で公表し,周知を図る。

4 本条の通報は,通報者の希望により匿名とすることができる。

5 通報等の取扱いは,別に定める。

第6章 特定不正行為の調査

(調査手続及び方法等)

第14条 大学は,通報等により研究活動における特定不正行為の疑惑が生じたときは,国立大学法人東京工業大学における研究の不正行為についての調査等に関する規則(平成27年規則第17号)に基づき,調査を行う。

2 特定不正行為の疑いが生じた研究者が当該疑惑を晴らそうとする場合には,自己の責任において,当該研究活動が科学的に適正な方法と手続きに則って行われたこと,論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。

3 前項の当該研究者の説明及びその他の証拠によって,特定不正行為であるとの疑いが覆されないときは,特定不正行為とみなす。また,当該研究者が生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬等の不存在など,本来存在するべき基本的な要素の不足により,特定不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも同様とする。

4 前項の規定にかかわらず,当該研究者が善良な管理者としての注意義務を果たしていた場合にあって,災害等の当該研究者の責によらない理由により,前項の基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合は,疑いを覆せなかったことだけをもって特定不正行為とは認定しない。また,生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬等の不存在などが,第11条第2項に定める保存期間を超えることによるものであるときも同様とする。

(調査結果の公表)

第15条 前条の調査により,特定不正行為が認定された場合,大学は,国立大学法人東京工業大学における研究活動の不正行為についての調査等に関する規則(平成27年規則第17号)に基づき調査結果を公表する。

2 前項の調査結果の公表にあたっては,国立大学法人東京工業大学における懲戒処分の公表基準(平成16年4月1日学長裁定)に基づき,当事者の氏名・所属等を公表するものとする。

第7章 特定不正行為に関与した者への措置

(懲戒)

第16条 第14条の調査により,第12条に規定する特定不正行為に関与したと認定された研究者(共謀者を含む。)については,国立大学法人東京工業大学職員の懲戒等に関する規則(平成30年規則第44号)国立大学法人東京工業大学職員の倫理規則違反行為に係る懲戒処分の基準に関する細則(平成16年細則第8号)等に基づき,懲戒処分を行う。

(損害賠償請求)

第17条 第14条の調査により,特定不正行為が認定され,資金配分機関への返還等大学が損害を被った場合,大学は当該特定不正行為に関与したと認定された者に対し,損害賠償請求を含めた法的手段を講じる。

(教育研究資金の執行停止)

第18条 学長は,特定不正行為の調査対象となった研究者(共謀者を含む。)に対して,第14条の調査期間中若しくは特定不正行為の認定の後,教育研究資金の執行を停止することがある。

(論文等の取り下げ)

第19条 学長は,第14条に規定する調査により,特定不正行為に関与したと認定された研究者(共謀者を含む。)に対して,特定不正行為と認定された論文等の取下げを勧告するものとする。

附 則

この規則は,平成27年4月1日から施行する。

附 則(平28.2.5規22)

この規則は,平成28年4月1日から施行する。

附 則(平30.3.23規54)

この規則は,平成30年4月1日から施行する。

国立大学法人東京工業大学における公正な研究活動に関する規則

平成27年3月6日 規則第16号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
[全学規則]/第7編 研究協力
沿革情報
平成27年3月6日 規則第16号
平成28年2月5日 規則第22号
平成30年3月23日 規則第54号