○国立大学法人東京工業大学における教育研究資金の適正な運営・管理に関する規則
平成27年3月6日
規則第14号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 責任体系(第3条―第7条)
第3章 適正な運営・管理の基礎となる環境の整備(第8条―第17条)
第4章 教育研究資金の不正使用(第18条―第20条)
第5章 教育研究資金の不正防止計画(第21条―第23条)
第6章 情報発信・共有化の推進(第24条・第25条)
第7章 モニタリング(第26条・第27条)
第8章 雑則(第28条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規則は,国立大学法人東京工業大学(以下「大学」という。)における教育研究資金の適正な運営・管理に関する基本的な事項を定めることにより,教育研究資金の不正使用の防止を図り,教育研究資金の適正な運営・管理に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において「教育研究資金」とは,大学の責任において管理するすべての資金をいう。
2 この規則において「部局」とは,各学院,リベラルアーツ研究教育院,科学技術創成研究院,国際先駆研究機構(各先駆研究組織を除く。),各先駆研究組織,附属科学技術高等学校,附属図書館,各共通教育組織,各共通支援組織等,未来社会DESIGN機構,各企画立案執行組織,事務局及びオープンファシリティセンターをいう。
3 この規則において「部局長」とは,前項の部局の長をいう。
4 この規則において「職員等」とは,大学に所属するすべての職員(非常勤を含む。),研究員,特別研究員その他これらに類する者をいう。
第2章 責任体系
(最高管理責任者)
第3条 大学に,大学全体を統括し,教育研究資金の適正な運営・管理について最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き,学長をもって充てる。
2 最高管理責任者は,不正防止対策の基本方針(以下「基本方針」という。)を策定・周知するとともに,それらを実施するために必要な措置を講じる。
4 最高管理責任者は,不正が行われる可能性が常にあるという認識の下で,不正を誘発する要因を除去し,十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなければならない。
5 最高管理責任者は,不正防止対策の基本方針及びそれに基づく具体的な不正防止計画の策定に当たっては,役員会において審議を主導するとともに,その実施状況及び効果等について役員等と議論を深める。
6 最高管理責任者は,不正防止に向けた取組に対する様々な啓発活動を定期的に行い,職員等の意識の向上及び浸透を図る。
(統括管理責任者)
第4条 大学に,最高管理責任者を補佐し,教育研究資金の運営・管理について大学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者(以下「統括管理責任者」という。)を置き,研究を担当する理事・副学長をもって充てる。
2 統括管理責任者は,不正防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者として,基本方針に基づき,大学全体の具体的な対策である不正防止計画を策定するとともに,コンプライアンス教育及び啓発活動について,実施時期,内容等を含めた具体的な実施計画を策定しなければならない。
3 統括管理責任者は,コンプライアンス教育及び啓発活動の実施状況を最高管理責任者に報告しなければならない。
(コンプライアンス推進責任者)
第5条 部局に,部局における教育研究資金の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者(以下「コンプライアンス推進責任者」という。)を置き,部局長をもって充てる。
2 コンプライアンス推進責任者は,統括管理責任者の指示の下,自己の管理監督又は指導する部局における不正防止対策を実施し,その実施状況を統括管理責任者に報告しなければならない。
3 コンプライアンス推進責任者は,統括管理責任者の指示の下,不正防止を図るため,部局内の教育研究資金の運営・管理に関わる全ての職員等に対し,各年度1回以上コンプライアンス教育を実施するとともに,不正根絶に向けた継続的な啓発活動を実施する。
4 コンプライアンス推進責任者は,コンプライアンス教育の受講状況及び理解度並びに啓発活動について管理監督し,その状況を統括管理責任者に報告しなければならない。
(コンプライアンス推進副責任者)
第6条 コンプライアンス推進責任者は,日常的な管理監督を行い得る体制を構築するため,各部局の定める範囲において複数のコンプライアンス推進副責任者を任命することができる。
2 コンプライアンス推進責任者は,コンプライアンス推進副責任者の任命にあたり,責任の範囲を明確にしなければならない。
3 コンプライアンス推進責任者は,第1項のほか,教育研究資金の管理・執行状況の把握のため,管理・執行の情報を着実に伝達しうる者をコンプライアンス推進副責任者に任命することができる。
4 コンプライアンス推進副責任者は,コンプライアンス推進責任者を補佐し,自己の責任の範囲において日常的に管理監督を行い,管理状況をコンプライアンス推進責任者に報告しなければならない。
(監事)
第6条の2 監事は,不正防止に関する内部統制の整備・運用状況について大学全体の観点から確認し,意見を述べるものとする。
2 監事は,モニタリング又は内部監査によって明らかになった不正発生要因の不正防止計画への反映状況及び不正防止計画の実施状況について確認し,意見を述べるものとする。
(責任体系の公表)
第7条 前4条に規定する各責任者の職名は,大学のホームページ等を通じて,本規則とともに学内外に公表する。
第3章 適正な運営・管理の基礎となる環境の整備
(職務権限の明確化)
第8条 教育研究資金に関して職員等が処理することができる事務の範囲は,国立大学法人東京工業大学会計規程(平成16年規程第1号。以下「会計規程」という。)第6条及び国立大学法人東京工業大学会計事務取扱細則(平成16年細則第1号。以下「細則」という。)第4条第2項に定める別表2―1から別表2―6のとおりとする。
(予算執行の義務と責任)
第9条 職員等は,教育研究資金が国民から徴収された税金,学生納付金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し,大学による管理を通じて,公正かつ効率的な執行を確保しなければならない。
2 大学の教育研究資金の予算執行に関する責任に関しては,本規則のほか,国立大学法人の財務及び会計に関し適用又は準用される法令,教育研究資金を配分した機関が定める規程等,会計規程その他の学内規則等の規定(以下「法令等」という。)の定めるところによる。
(予算責任者)
第10条 部局に,部局における教育研究資金の予算執行について実質的な責任と権限を持つ者(以下「予算責任者」という。)を置き,細則第10条に定める予算責任者をもって充てる。
2 予算責任者は,部局における教育研究資金を詳細に管理する区分(以下「予算詳細」という。)ごとに,部局における教育研究資金を配分する。
3 予算責任者は,職員等に不正が発生する危険性が常にあることを認識させ,自発的な改善の取組を促さなくてはならない。
4 予算責任者は,部局における教育研究資金の執行・管理において,職員等の相互理解を促進させるよう配慮しなければならない。
5 予算責任者は,部局における教育研究資金の予算執行が適切に行われているかモニタリングし,必要に応じて職員等に改善を指示しなければならない。
(予算詳細責任者)
第11条 部局に,予算詳細ごとに配分された教育研究資金について実質的な責任を持って予算執行を行う者(以下「予算詳細責任者」という。)を置き,予算責任者が指名する者をもって充てる。
2 予算詳細責任者は,法令等に則り,予算詳細ごとの教育研究資金の予算執行を行わなければならない。
3 予算詳細責任者は,予算詳細ごとの教育研究資金について,教育研究等業務の進捗状況及び予算執行の状況を厳格に管理しなければならない。
4 予算詳細責任者が第14条の規定に基づく発注業務を行った場合,発注先選択の公平性及び発注金額の適正性の説明責任等は,予算詳細責任者に帰属するものとする。
(予算詳細執行支援者)
第12条 予算詳細責任者は,予算詳細ごとに配分された教育研究資金の予算執行を支援する者(以下「予算詳細執行支援者」という。)を置くことができ,予算詳細責任者が指名する職員等(特別研究員その他これに類する者を除く)をもって充てる。
2 予算詳細責任者は,予算詳細執行支援者の監督責任を有し,予算詳細執行支援者は,予算詳細責任者の監督のもと,善良な管理者の注意義務をもって予算詳細ごとに配分された教育研究資金の予算執行を支援しなければならない。
(補助金等)
第13条 大学に交付される補助金等により複数の部局が教育研究を行う場合,当該補助金等における代表者の所属する部局の予算責任者は,当該補助金等の全般的な管理・執行に関し責任を負い,当該補助金等を適切に管理・執行するために,関係する部局ごとに予算詳細を設定するとともに,予算詳細責任者を指名する。
(発注業務)
第14条 発注業務は,支出予算を特定して行うものとする。
2 発注することができる者(以下「発注者」という。)は,以下のとおりとする。
一 第11条に定める予算詳細責任者
三 第12条に定める予算詳細執行支援者(予算詳細責任者の承認のあった発注に限る。)
四 その他学長が必要と認める者
3 前項に定める発注者が発注をする場合は,別に定める様式を使用しなければならない。但し,別の方法により,これと同程度の効果が得られると認められる場合は,この限りでない。
4 予算責任者は,別に定める様式により,第10条第5項に規定するモニタリング結果を半期ごとに統括管理責任者に報告しなければならない。
(検収業務)
第15条 大学は,前条の規定に基づき発注された物品・役務等が適正に納品されたことを確認する(以下「検収」という。)ために検収センターを設置する。
2 別に定める場合を除き,検収センターは納品物品等全ての検収を行う。
3 別に定める場合を除き,検収を経ていない納入業者による研究室等への直接納品を禁止する。
(謝金業務従事者・非常勤の職員の管理)
第16条 謝金業務従事者及び非常勤の職員の勤務実態の確認は,従事者の作成した勤務に係る報告書及び従事者との定期的な面談・日常的なコミュニケーションを通じて,事務局の常勤職員が行うものとし,当該報告書は事務局の常勤職員が管理・保管するものとする。
(学生アシスタントの管理)
第17条 教育研究資金により学生を研究補助業務に従事させる場合は,東京工業大学学生アシスタント取扱要項(平成16年4月1日学長裁定)に基づき,所定の手続きを経なければならない。
第4章 教育研究資金の不正使用
(教育研究資金の不正使用の禁止)
第18条 職員等は,教育研究資金の本来の目的に沿って,教育研究資金を適切に使用するものとし,次に掲げる行為は不正使用としてこれを禁止する。
一 物品等が納品されていないにもかかわらず,納品されたように装い,当該物品の代金を不正に請求し,取引業者の口座等に振り込ませる行為
二 勤務した実績がないにもかかわらず,勤務したかのように装い,給与を不正に支給させる行為
三 国立大学法人東京工業大学旅行命令等規則(平成28年規則第153号)第2条第1号に定める旅行命令(以下「旅行命令」という。)に従い出張した実績がないにもかかわらず,旅行命令に従い出張したかのように装い,旅費を不正に支給させる行為
四 各教育研究資金の目的に合致しない用途に使用する行為
五 前各号のほか,大学に不当に請求し,正当ではない金額を大学に支払わせる行為
(関係者の意識向上)
第19条 職員等は,本規則のほか,大学の諸規則や教育研究資金の趣旨・取扱いを正しく理解するとともに,教育研究資金の適正な使用に努めなければならない。
2 職員等は,前項の規定を履行するにあたり,別に定める誓約書を大学に提出しなければならない。誓約書を提出しない職員等については,教育研究資金の申請・受給及び運営・管理に関わることを認めない。
3 統括管理責任者は,大学の不正防止に向けた方針や取組を職員等に正しく認識させるために,研修を実施し,次に掲げる事項について周知徹底を図る。
一 大学の不正防止対策に関する方針
二 不正が生じた場合の大学への影響
三 教育研究資金の運用ルール・事務手続き及び告発等の制度などの遵守すべき事項
四 不正が発覚した場合の懲戒処分と弁済責任
五 配分機関における申請資格等の制限,教育研究資金の返還等の措置
六 その他研究者倫理に関する事項
4 職員等は,前項の研修に参加しなければならない。また,当該研修に参加しない職員等については,教育研究資金の申請・受給及び運営・管理に関わることを認めない。
(通報・告発)
第20条 職員等は,教育研究資金の不正使用の事実を知った時は,国立大学法人東京工業大学公益通報者保護規程(平成18年規程第13号)第4条第1項に規定する総合通報・相談窓口に通報又は告発(以下「通報等」という。)することができる。
2 大学は,不正の通報等の制度を機能させるため,職員等に各種研修・コンプライアンス教育を通じて,具体的な利用方法等を周知徹底する。
3 大学は,取引業者等の外部者に対し,総合通報・相談窓口の仕組み(連絡先,方法,通報者の保護を含む手続等)についてホームページ等で公表し,周知を図る。
4 第1項に定める通報等は,通報者の希望により匿名とすることができる。
5 通報等の取扱いについては,別に定める。
6 第1項に定める通報等又は他の手段により,不正使用の事実又はそのおそれがあることを知った場合,学長は,別に定めるところにより,当該事実について調査を命じることができる。
第5章 教育研究資金の不正防止計画
(不正を発生させる要因の把握)
第21条 大学は,不正を発生させる要因の把握に取り組み,必要な措置を講じることにより,教育研究資金の不正使用の発生の防止に努める。
(防止計画推進部署)
第23条 国立大学法人東京工業大学組織運営規則(平成27年規則第81号)第20条の規定に基づき置かれる教育研究資金適正管理室(以下「適正管理室」という。)は,前条の不正防止計画の策定にあたり統括管理責任者を補佐するとともに,当該計画の推進を担当する。
2 部局は,不正根絶のために,適正管理室と協力し,主体的に不正防止計画を実施する。
第6章 情報発信・共有化の推進
(研究支援窓口)
第24条 研究推進部研究企画課に研究支援窓口を置き,次に掲げる業務を行う。
一 情報提供(教育研究資金の適正な運用・管理を行うため,職員等に手続きや使用ルールをわかりやすく取りまとめ,大学ホームページ等で情報提供する。)
二 相談受付(学内外からの研究に関する相談を受け付ける。)
(業者に対しての周知)
第25条 大学は,建築工事を除く競争参加資格を有する者及びその他の者(以下「業者」という。)が,第18条各号に定める教育研究資金の不正使用とする行為への加担を防止するために,業者に対して次に掲げる内容を周知しなければならない。
一 調達に関する大学の基本方針
二 国立大学法人東京工業大学契約事務取扱細則(平成16年細則第16号)第32条の2に定める誓約書の内容
三 国立大学法人東京工業大学における物品購入等契約に係る取引停止の取扱要項(平成19年10月19日学長裁定)に定める取引停止期間
四 その他調達に関する諸規則及び必要な事項
第7章 モニタリング
(モニタリング・内部監査)
第26条 大学は,教育研究資金の適正な運営・管理のために,内部監査を通じてモニタリングを実施する。
2 モニタリングは,適正管理室と連携して監査室が行う。
3 内部監査は,毎年度定期的に,ルールに照らして会計書類等の形式的要件等が具備されているかなど,財務情報に対するチェックを一定数実施するほか,教育研究資金の管理体制についても検証する。
(リスクアプローチ監査)
第27条 監査室は,前条第2項に基づくモニタリングの実施によって適正管理室が把握したリスクについて,そのリスクの大学に与える影響の重要性と監査の効率性や最適化を踏まえるなどのリスクアプローチの観点から,監査計画やその手法を適切に見直した上で,適正管理室と連携して監査を実施する。
2 監査室は,監事及び会計監査人と連携して,効率的・効果的かつ多面的な監査を実施する。
3 モニタリング,内部監査及びリスクアプローチ監査で得られた結果は,コンプライアンス教育の一環として大学内で周知し,類似事例の再発防止を徹底する。
第8章 雑則
(雑則)
第28条 この規則に定めるもののほか,教育研究資金の適正な運営・管理の実施のために必要な事項は,別に定める。
附則
1 この規則は,平成27年4月1日から施行する。
2 この規則の施行の際,次に掲げる規則はこれを廃止する。
一 国立大学法人東京工業大学における教育研究資金の管理・監査要項(平成19年10月19日制定)
二 国立大学法人東京工業大学における教育研究資金の予算執行の責任に関する規程(平成24年規程第10号)
附則(平28.2.5規34)
この規則は,平成28年4月1日から施行する。
附則(平28.7.1規160)
この規則は,平成28年7月1日から施行し,改正後の国立大学法人東京工業大学における教育研究資金の適正な運営・管理に関する規則の規定は,平成28年4月1日から適用する。
附則(平29.3.17規36)
この規則は,平成29年4月1日から施行する。
附則(平30.2.2規8)
この規則は,平成30年4月1日から施行する。
附則(令2.1.10規4)
この規則は,令和2年1月10日から施行し,改正後の国立大学法人東京工業大学における教育研究資金の適正な運営・管理に関する規則の規定は,令和元年9月1日から適用する。
附則(令2.2.21規24)
この規則は,令和2年4月1日から施行する。
附則(令2.12.18規119)
この規則は,令和2年12月18日から施行する。
附則(令3.3.19規33)抄
1 この規則は,令和3年4月1日から施行する。
附則(令4.2.4規18)
この規則は,令和4年2月4日から施行する。
附則(令4.3.18規34)
この規則は,令和4年4月1日から施行する。