○国立大学法人東京科学大学微生物等安全管理規則

令和6年10月1日

規則第112号

(目的)

第1条 この規則は、国立大学法人東京科学大学(以下「大学」という。)において、教育、試験研究その他の科学上の利用に供する微生物等の所持、保管、使用、輸入、運搬、滅菌等(以下「取扱い等」という。)に関し、必要な事項を定め、もって大学の安全確保及び環境保全を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 微生物等 原核生物、真菌、ウイルス、ウイロイド、原虫等の微生物類、多細胞性の寄生虫及びプリオン並びに毒素(細菌毒素、藻類毒素、真菌毒素、植物性毒素、動物性毒素)をいう。

 病原性 微生物等が何らかの機構により、生物に危害を及ぼすことをいう。特にことわりがない限り、哺乳動物等(哺乳綱又は鳥綱に属する動物をいう。以下同じ。)に対する病原性を意味することとする。

 病原微生物等 哺乳動物等に対して病原性を持つ微生物等をいう。

 バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。) 微生物等の危険度の評価による分類をいい、「実験室バイオセーフティ指針(原題:Laboratory biosafety manual)第3版(WHO、2004年)(以下「WHO指針」という。)」に基づき、1から4までの区分に分類される。なお、バイオセーフティとは、微生物等へのばく露等を予防することをいう。

 動物実験バイオセーフティレベル(以下「ABSL」という。) 微生物等を用いた動物実験における危険性の評価による分類をいい、1から4までの区分に分類される。

 実験室等 微生物等の使用、保管及び滅菌等を行う実験室及び関連する室をいう。

 微生物等管理区域(以下「管理区域」という。) 微生物等の安全管理に必要な室を含む特定の区域をいう。

 微生物等取扱者 実際に微生物等の取扱い等に従事する者をいう。

(対象とする微生物等)

第3条 この規則は、大学の実験室等で教育、試験研究その他の科学上の利用に供するために取扱い等を行う微生物等(病院又は微生物等の検査を行う部局において、診断に伴い取扱い等を行う微生物等を除く。)を対象とする。

2 微生物等のうち、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に定める特定病原体等の取扱い等については、この規則の定めるもののほか、国立大学法人東京科学大学特定病原体等安全管理規程(令和6年規程第152号)によるものとする。

3 前2項の規定にかかわらず、感染症法に定める一種病原体等については,大学において取扱い等をしてはならない。

(総括者等の責務)

第4条 理事長は、法人の長として、大学における微生物等の取扱い等について最終的な責任を負うとともに、その業務を総括する。

2 理事長は、前項の責務を実行するための権限及び業務を大学の長である学長へ委任する。

(微生物等安全管理中央委員会)

第5条 大学に、次に掲げる事項を審議・検討する微生物等安全管理中央委員会(以下「中央委員会」という。)を置く。

 大学における微生物等の取扱い等に係る指針等の作成に関すること。

 BSLが決定されていない微生物等のBSL分類に関する事項

 微生物等の取扱い等に係る教育訓練及び健康管理に関する基本的事項

 微生物等の取扱い等に係る管理体制の確認に関すること。

 事故又は災害時における措置に関する基本的事項

 前各号のほか、微生物等の取扱い等に関わる安全確保及び環境保全に関する重要事項

(中央委員会の構成)

第6条 中央委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

 第8条第2項各号に定める地区審査委員会の委員長及び副委員長

 前号のほか、学長が必要と認めた者 若干人

2 前項第2号の委員の任期は2年とし、重任、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(中央委員会の運営)

第7条 中央委員会に、委員長及び副委員長を置く。

2 委員長は、委員の互選によって決定し、副委員長は、委員のうちから委員長が指名する。

3 委員長は、中央委員会を招集し、その議長となる。

4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代行する。

5 この規則に定めるもののほか、中央委員会の運営に関して必要な事項は、中央委員会において定める。

(地区審査委員会)

第8条 大学に、次の各号に掲げる事項を審議及び検討する微生物等安全管理地区審査委員会(以下「地区委員会」という。)を置く。

 微生物等の取扱い等の科学的妥当性、法律、規則及び指針等への適合性の基準に関する事項

 BSL3微生物等が内在しているおそれがある試料等の取扱い等の科学的妥当性、法律、規則及び指針等への適合性の基準に関する事項

 管理区域の基準に関する事項

 前3号のほか、微生物等の取扱い等に関わる安全確保及び環境保全に関する個別事項

2 地区委員会は、当該各号に定める地区を担当するものとする。

 大岡山地区審査委員会 大岡山地区、すずかけ台地区及び田町地区

 湯島地区審査委員会 湯島地区、駿河台地区及び国府台地区

(地区委員会の構成)

第9条 地区委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。

 微生物等の実験に関して優れた識見を有する者 若干人

 微生物等に関して優れた識見を有する者 若干人

 その他学識経験を有する者 若干人

 その他学長が必要と認めた者 若干人

2 前項の委員の任期は2年とし、重任、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(地区委員会の運営)

第10条 地区委員会に、委員長及び副委員長を置く。

2 委員長は、委員の互選によって決定し、副委員長は、委員のうちから委員長が指名する。

3 委員長は、地区委員会を招集し、その議長となる。

4 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代行する。

5 この規則に定めるもののほか、地区委員会の運営に関して必要な事項は、地区委員会において定める。

(予備審査等)

第11条 地区委員会は、審査に先立ち、特に専門性を有する実験計画については、予備審査を行うことができる。

2 地区委員会は、必要があると認めた場合は、委員以外の者の出席を求め、その意見を聴くことができる。

3 第1項の予備審査の運用に関する事項は、各地区委員会が別に定める。

(庶務)

第12条 中央委員会および地区委員会の庶務は、研究推進部研究基盤推進課において処理する。

(リスク群分類等の作成)

第13条 中央委員会はWHO指針の考え方を参考にして、微生物等のBSL及びABSL(以下「BSL等」という。)の分類を決定するための指標として、微生物等のリスク群分類及びリスク評価項目を作成するものとする。

2 前項のほか、中央委員会は、WHO指針の考え方を参考にして、微生物等の取扱いを行う者等の安全を確保するため、BSL等に応じた実験手技、安全機器及び実験室の設備を定める基準(以下「設備基準」という。)を作成するものとする。

(微生物等のBSL等の分類の決定)

第14条 学長は、前条において中央委員会が作成したリスク群分類等に基づき、中央委員会の審査を経て、微生物等のBSL等の分類を決定することができる。

2 微生物等の取扱い等を希望する者であって、当該微生物等のBSL等の分類が決定されていない場合、学長にBSL等の分類を決定するよう依頼するものとする。

3 前項におけるBSL等の分類の決定の手続は、第1項の規定に準じて行うものとする。

(指針の作成等)

第15条 中央委員会は、微生物等のリスク群分類、リスク評価項目、設備基準、BSL等の分類の一覧その他微生物等の安全管理に関し必要な事項をまとめたものを指針として作成し、閲覧できるようにしなければならない。

(微生物等取扱等責任者)

第16条 微生物等の取扱い等は、微生物等の取扱い等に対して責任を有する者(以下「微生物等取扱等責任者」という。)の管理・監督の下で、実施するものとする。

2 微生物等取扱等責任者は、微生物等の取扱い等について、適切な管理・監督を行うとともに、微生物等を保管し、又は実験を行う実験室等の適切な管理運営を行い、微生物等に係る事故又は災害が起きた場合における責任を負うものとする。

3 微生物等取扱等責任者は、大学に所属する教員でなければならない。

(微生物等管理区域責任者)

第17条 個々の管理区域について、責任を負う者を微生物等管理区域責任者とする。

2 微生物等管理区域責任者は、次に掲げる任務を果たすものとする。

 当該管理区域及び関連する設備を整備すること。

 当該管理区域の利用者に対して、適正な微生物等の取扱い等を行うよう指導・監督にあたること。

 当該管理区域について、別に定める書類を地区委員会に提出すること。

 その他微生物等管理区域に係る安全確保及び環境保全に関して必要な事項を実施すること。

3 微生物等取扱等責任者が、当該微生物等の取扱い等を行う管理区域の微生物等管理区域責任者と異なる場合は、その任務を果たすに当たり相互に十分連絡を取り、微生物等の取扱い等に係る安全確保及び環境保全に関する必要な事項について、地区委員会に報告するものとする。

(微生物等の取扱い等にかかる申請)

第18条 微生物等の取扱い等を希望する者であって、次の各号のいずれかに該当する場合は、事前に学長に申請し、許可を得なければならない。

 微生物等のBSLの分類が2又は3である場合

 微生物等を用いた動物実験を伴う研究を希望する場合であっては、当該微生物等のABSLの分類が2又は3である場合

2 前項の申請は、当該研究の責任者であって、微生物等取扱等責任者となる者が、別に定める様式によって行うものとする。

3 前項の申請を受けた学長は、地区委員会での審査を経て、微生物等の取扱い等の可否を決定するものとする。

(審査の観点等)

第19条 地区委員会は、前条第4項の審査にあたっては、次に掲げる観点を踏まえて、安全確保及び環境保全等の措置が適切に講じられているか審査するものとする。

 微生物等の取扱い等に係る管理体制が適切であること。

 取扱い等を行う微生物等のBSLに応じた施設基準を満たしていること。

 微生物等を動物実験に用いる場合にあっては、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号。以下「家伝法」という。)、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)その他関係法令に定める要件を満たしていること。

2 地区委員会は、審査の際、申請者に追加資料の提出を求め、又は地区委員会への出席を求めることができる。

3 地区委員会は、感染症法及び設備基準の要件を満たすことを確認するため、実験室等の実地検査を行うことができる。

4 地区委員会は、審査対象となる微生物等や、実施予定の実験の特性を踏まえ、第12条で作成した指針に定めるBSL等の分類の基準よりも、リスクが高いと判断した場合は、より高いBSL等に対応する設備基準を満たすよう、申請者に求めることができる。

(変更申請)

第20条 微生物等取扱等責任者は、第18条で許可を受けた申請内容に変更が生じた場合には、速やかに変更点について申請するものとする。

2 前項の申請に係る審査等の手続については、第18条の規定を準用する。

3 前項の規定にかかわらず、変更のうち、軽微な変更については、地区委員長の審査に代えることができるものとする。ただし、地区委員長が申請者本人であった場合、他の委員がその職務を代行する。

4 前項の軽微な変更のうち、微生物等取扱者に係る変更については地区委員会への付議を要しない。

(終了及び中止の届出)

第21条 微生物等取扱等責任者は、第15条(前条において準用する場合を含む。)の許可を受けた微生物等の取扱い等を終了し、又は中止することとなったときは、別に定める様式により、速やかに届け出るものとする。

(異常事態発生時の措置)

第22条 異常事態を発見した者は、直ちに微生物等取扱等責任者及び微生物等管理区域責任者に通報しなければならない。

2 微生物等取扱等責任者及び微生物等管理区域責任者は、必要に応じて拡散防止等の緊急措置をとるとともに、直ちに所属する部局等の長及び地区委員会に報告しなければならない。

3 前項の報告を受けた地区委員会は、直ちに中央委員会に報告しなければならない。

4 中央委員会の委員長は、緊急措置を講じた場合には、速やかに異常事態発生の状況、応急措置の概要等を学長に報告しなければならない。

(他の法令及び規則との関連)

第23条 微生物等の取扱い等が、感染症法、家伝法その他の関係諸法令の適用を受ける場合には、中央委員会及び地区委員会は、当該法令の趣旨を踏まえて、適切に対応するものとする。

2 微生物等の取扱い等が、国立大学法人東京科学大学遺伝子組換え生物等の実験等安全管理規則(令和6年規則第111号)、国立大学法人東京科学大学動物実験等管理規程(令和6年規程第149号)、国立大学法人東京科学大学における人を対象とする生命科学・医学系研究及び実験調査研究に関する規程(令和6年規程第150号)その他の大学の規則等の適用を受ける場合には、微生物等取扱等責任者及び微生物等管理区域責任者は、それぞれの規則等を遵守しなければならない。

(雑則)

第24条 この規則に定めるもののほか、微生物等の取扱い等に関し必要な事項は、中央委員会の審議を経て、学長が別に定める。

1 この規則は、令和6年10月1日から施行する。

2 次に掲げる規則は、廃止する。

 国立大学法人東京工業大学研究用微生物等安全管理規則(令和3年規則第28号)

 国立大学法人東京医科歯科大学病原微生物等安全管理規則(平成23年規則第10号)

国立大学法人東京科学大学微生物等安全管理規則

令和6年10月1日 規則第112号

(令和6年10月1日施行)

体系情報
東京科学大学/ [全学規則]/第8編 研究・産学連携
沿革情報
令和6年10月1日 規則第112号